ケンカ好きでエロさが魅力的
食い付きづらい物語冒頭
RPGゲームのようなパラレル世界にいった主人公が、その世界で魔王を倒し、魔王の娘を現実世界に連れてくる、という前提から物語が展開していきます。
ただ、パラレル世界に行った主人公や、そこでの出来事などは描かれていません。そこの部分においては、アニメ作品の中で、回想シーンになっていることで、なかなか物語の中に入り込めない感じが否めません。
せめて第1話では、早巻き感があっても、主人公が現実世界からRPGゲーム世界にいく描写や、そこでの出来事、そして魔王を倒して、魔王の娘を現実社会に連れていくところから始めてほしかったように思います。
最初から、あまりに観る側を置いてきぼりで進行していくストーリー展開に戸惑ってしまいます。
また、度々入れ込まれている回想シーンに、後付け感が否めないです。せっかく良い世界感で描かれた面白いアニメ作品なのに、描いていく場面の順序に問題があるのではないでしょうか。
あまりに不自然な物語の始まりなので、もしかしたら、意図的な狙いがあるのかもしれません。しかし、狙いが何なのか、よく分からないです。そして、良い方向に活かされている気が全くしないのです。もし、意図的にこの順序で物語の進行を考えたのであれば、大失敗だったと思わざるを得ません。
その部分においては、惜しいと思いますし、物語の冒頭部分の進行をしっかりさせれば、もっと面白さが自然なかたちで観る側に伝わったのではないでしょうか。
メチャクチャ強い主人公
冒頭から、ここまで強い主人公のアニメ作品もなかなかお目にかかれないです。漂う無敵感が凄く、「はじめの一歩」登場人物の鷹村さんみたいなイメージのキャラクターです。
ただ、鷹村さんみたいに、この「はぐれ勇者の鬼畜美学」主人公の凰沢 暁月(おうさわ あかつき)は横暴なキャラクターではないようです。
ただ、漂う強さゆえの孤立感みたいな印象は重なるものを感じさせます。また、エロい部分でもキャラクター性は同じなのではないでしょうか。ただ、下品さが全然違うように思います。
また、RPGゲームに有りがちな魔法や武器といった要素はあるのに、主人公は気孔術のようなものを体得しており、新しい要素を組み込んでいることが伺えます。アニメ作品の中で、「北斗の拳」の北斗神拳のような技を使用することが多いのも、面白い設定のように感じました。
ツボを突くことで、他者の体力が回復できたり、尿意を促したりする場面は、北斗神拳の経絡秘孔そのままだったように思います。これで主人公の感情が昂ることで、筋肉が膨張して服を破ってしまう場面があったら面白いのでしょうが、さすがにそんなことはなかったですね(笑
ただ度合いや作風は違っても、「北斗の拳」のケンシロウが主人公であると考えれば、冒頭からここまでの強さをもっていることにも、不思議と納得させられるものがあります。
また、主人公が武器として召喚する剣があまりにも禍々しいデザインなのも、笑ってしまいました。
デザインそのものはカッコ良いですし、主人公の強さを象徴するアイテムとして、存在感は大きいように思うのです。しかし、RPGゲームの世界感をモチーフにしていることから、主人公の持つ剣は呪いのアイテムのようなデザインに感じさせます。
または、悪役の大物クラスが振り回す武器のような印象を持ちます。
この剣を振り回して戦っている主人公の暁月は、一見すると主人公に見えないイメージをもってしまうところも印象強いです。
投げっぱなしの要素
時間が間に合わなかったのか、投げっぱなしになっている要素があり、最終回まで観ても、謎に包まれていることが多いと感じます。
一つ目に、音速を越える乗り物です。乗り物自体が意思を持っており、乗る者を選ぶというスゴいアイテムです。アニメ作品の中で、それなりの時間を割いて、乗り物を手に入れていました。しかし、その乗り物が活用されたのは、アニメの中で一度きりなのです。
もう少し活用される機会があっても良いだろうに、スゴい乗り物という存在感が大きかっただけに、扱いが酷いように感じました。
二つ目に、暁月の父親の話です。音速を越える乗り物を乗りこなしたのは、暁月の父親であるゴウキだけ、だということでした。そして、暁月はそれを聞いた途端に、父親に対しての対抗意識を燃やします。しかし、アニメの物語では、それ以降、暁月の父親のことがとりあげられることがありません。
三つ目に、生徒会長のことです。主人公の暁月と、互角に戦えそうな雰囲気を醸し出す登場人物です。ただ、物語始めの段階で登場するわりに、アニメの中で闘う機会は一切ありません。生徒会長は、最後の最後まで謎に包まれた人物でした。そして、明らかになった部分は案外少ないように感じます。
以上の3点が、気になった投げっぱなし要素といえる部分です。
ただ、このアニメ作品は、小説を原作としたものです。そして、原作の小説においては、11巻まで続いており、長編作品といえるのではないでしょうか。このアニメ作品を入り口として、原作である小説に入っていくことで謎が明かされるのでしょう。
- あなたも感想を書いてみませんか?
- レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。 - 会員登録して感想を書く(無料)