地味ながら壮大な恋愛映画 - ビフォア・サンセットの感想

理解が深まる映画レビューサイト

映画レビュー数 5,784件

地味ながら壮大な恋愛映画

4.74.7
映像
5.0
脚本
5.0
キャスト
5.0
音楽
4.5
演出
4.0

目次

続編が出るなんて予想してなかった

前作「恋人までの距離」から9年後に公開された本作。描かれるのは9年後のふたり。

映画の中で流れる時間と、実際の上映時間がほぼ同じなのもこの映画の特徴である「自然さ」を演出するのに一役かっている。

続編が出ると聞いてひっくりかえった。というか、出なくていいとすら思っていた。

ふたりは再会できるのかな、できたらいいな、でもやっぱりできないのがいいのかも・・・どっちにしてもわからなとこがいいななんて思っていたミーハーな私。

再会できていたのならまあそれはそれでいい、もうネタバレしてるんだから他のところで楽しませてちょうだいよ、とちょっと前のめりでテレビに向かった。

1年後、ふたりは再会できていなかったことが判明

見る前から、もう半分くらいは見たようなものだな、なんて思っていた。

続編が出たということはふたりは再会できたということ。あまのじゃくな私は再会できてもできなくても気に入らないのだ。

でもふたりは1年後のウィーンで再会できていなかったことが明らかになる。

ここでもこの作品の「自然さ」が顔をのぞかせて、私はニンマリした。連絡先も交換していないふたりのこと、会えるほうがちょっとおかしい。

ふたりが1年後に再会できていなかったことを知って私は嬉しかった。

ご都合主義的なラブロマンスとはやはり一味ちがう空気感、それが変わっていなかったことがシンプルに嬉しかったのだ。

人の持つエネルギーが目に見えるような作品

私はこのシリーズがやはり大好きだと改めて思った。

前作が好きで今作がイヤという人はあまりいないと思う。逆もまたしかりだ。

基本的に、というか全編にわたってふたりは話して、話して、そして話している。話しているのはお互いの政治信条や近況や、つまりはなんてことない雑談だ。

なのにこの作品はとても美しい。キレイなパリの街並みが舞台だからという理由だけでは説明できないなにかがある。

ふたりの出会いは運命的なものだったった。誰にでも起こることではない。でもきっかけはありふれたナンパだった。

人と人が出会ったときはお互いを知ろうとする。ふたりもそうだった。

でも彼らのやりとりが特別なものに見えたのは、ふたりのお互いへの気持が、移り変わりが、目に見えるようだったからだ。

知りたい、知ってほしい、理解したい、理解されたい・・・その思い、情熱こそが、あのふたりの出会いとこの作品を特別なものにしている。

前作では再会を誓って別れたものの9年後まで再会することはなかったふたりだが、今作ではまだ続きがあるような余韻を残しつつ、映画は終了する。

次もまた、私は前のめりでテレビに向かうのだろう。

あなたも感想を書いてみませんか?
レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。
会員登録して感想を書く(無料)

他のレビュアーの感想・評価

9年ぶりの再会を描いた9年ぶりの続編

再会この映画はビフォアサンライズの続編で、ジェシー役のイーサンホークとセリーン役のジュリーデルピーが9年後にパリで再会するという設定になっている。ビフォアサンライズの9年後にビフォアサンセットが公開されていて、実際に再会するまでの期間を同じにすることでリアリティを一層深めている。ビフォアサンライズは何回観たかわからないぐらいハマったので、その続編が出るとわかったときの興奮はすごかった。最初のシーンは、パリの書店でジェシーが小説のインタビューを受けているところから始まる。ウィーンでのセリーンとの出会いをもとにした小説を出版した前提となっていて、最初に画面に映されたジェシーの顔はビフォアサンライズの時のあどけなさはなくなり、皺が深く少し険しさのある大人の表情となっていて、リアルに9年という月日の長さが表情に表れていた。そのインタビューをセリーンが横から見ているという設定だった。実際にジェシ...この感想を読む

4.54.5
  • miyayokomiyayoko
  • 207view
  • 2267文字
PICKUP

君を見つけるために本を書いた

9年たって突然の再会前作ではまだ子供っぽさの残る学生のジェシーが、すっかり30代の大人になっています。そして前作の出来事について小説を書き、作家として世界を回っています。すっかり成功したのですね。あの衝撃的な出会いと一夜から9年、ということですが、本当に9年たってからの続編なので、当然役者も9年分の年をとり、観客も9年分年をとっています。それは本当に長い年月です。書店でプロモーションイベントを開いているジェシーが、本当に自然とふと横を見たときにそこにいるのがセリーヌです。この長い間、連絡先も知らず、再会も果たせず、思いだけが残っていて小説に書くしかなかったセリーヌです。どれだけ心臓がギュッとなったことでしょうか。そのあと2人は、ジェシーの飛行機が出る夕刻までパリを散策することにします。お互いへの激しい感情感情といっても、いきなり好きだの嫌いだのをぶつけ合うのではなく、前作同様、2人でず...この感想を読む

5.05.0
  • WeebleWeeble
  • 108view
  • 1177文字

関連するタグ

ビフォア・サンセットが好きな人におすすめの映画

ページの先頭へ