君を見つけるために本を書いた
9年たって突然の再会
前作ではまだ子供っぽさの残る学生のジェシーが、すっかり30代の大人になっています。そして前作の出来事について小説を書き、作家として世界を回っています。すっかり成功したのですね。あの衝撃的な出会いと一夜から9年、ということですが、本当に9年たってからの続編なので、当然役者も9年分の年をとり、観客も9年分年をとっています。それは本当に長い年月です。書店でプロモーションイベントを開いているジェシーが、本当に自然とふと横を見たときにそこにいるのがセリーヌです。この長い間、連絡先も知らず、再会も果たせず、思いだけが残っていて小説に書くしかなかったセリーヌです。どれだけ心臓がギュッとなったことでしょうか。そのあと2人は、ジェシーの飛行機が出る夕刻までパリを散策することにします。
お互いへの激しい感情
感情といっても、いきなり好きだの嫌いだのをぶつけ合うのではなく、前作同様、2人でずっと喋っています。近況報告のような世間話のような話から、コミカルなセリーヌの笑いまで、基本的には前作の2人と全然変わっていないように見えます。前作で「半年後に会う」と約束したのが果たされていないこともわかりますが、でもジェシーは約束通り待ち合わせ場所に現れていた、でもセリーヌが来なかった。これに起因する「あの時もし再会できていれば、今こんなはずじゃなかったのに」という激しい思いが突然ジェシーから溢れ、ニューヨークの街角でセリーヌに似た人を見た気がしたこともある、というとセリーヌは「ニューヨークのその街角あたりに住んでいた事がある」とすれ違っていた可能性をにおわせたりします。セリーヌも自宅へ戻るタクシーの中で思いを爆発させます。自分の恋愛感情に関して冷めた感覚でいたのに「あなたの本を読むまでは平気だったけど、本を読んだことで自分がどれだけ本当にロマンティックな人間だったのかを思い知らされた」と。
A Waltz For A Night
2人がセリーヌの自宅に到着したあと、もう飛行機までの時間は少ししか残っていませんが、お茶だけ飲むことにします。この部屋のインテリアが洗練されて、とても欧州っぽくて素敵でした。まさに「おしゃれカフェ」のような。そこでセリーヌがギターを取り出し、弾き語りを始めます。A Waltz for A Nightという自作の歌で、内容は明らかに9年前のジェシーと過ごした一晩のことです。その中で「愛しいあなた、ジェシーと過ごす一晩は、他の人との1000夜よりも幸せ」という歌詞があります。何をこの2人は9年もの間、小説にしたりうたにしたりやきもきしてるんだと思いますが、もうこのまま結末が分かります。ジェシーは飛行機には乗らないんだな、と。短い映画でしたが、見ている側の感情も大忙しの映画でした。本当の「恋愛映画」だと思います。
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