裸の天使、裸とは無抵抗と愛の象徴
テンテンくんを嫌いな人はいるか
ひでゆきは本当に情けない奴なのか
ジャイ子の名前がなかったのは同じ名前の子どもがいじめられないためだというのはあまりに有名ないいお話ですが、なぜひでゆきは伏せてくれなかったのか。ひでゆきは情けない奴ではなかったのか。賛否両論あると思いますが、ずばぬけていいやつなのは間違いありません。しかし彼のサイダネがない以外の性格の欠点としては優柔不断、女性扱いが得意でないくせにあまりに女に弱い、節操がないなどなどキリがありません。テンテンくんに頼ることばかり考えてはだめだ!という自立心が10代前半ですぐに育っていくので才能がないといえどそもそもの頭が悪くないように思います。のび太と比較されがちですが、根性が腐っていない点でのび太ほどではありません。しかし私の近辺のひでゆきさんはいいかんじに揶揄われていたので、少し気の毒でありました。
今作独特の天使と悪魔の関係
テンテンくんは天使であり、悪魔とかつて対立する関係であり昔は戦争が行われた程険悪な関係にあった両者ですが、親善目的の運動会が行われるほど関係は改善されています。天使と悪魔は非常によく作品作りに使われる題材ですが、テンテンくんにおいては独特です。子供でも分かるような簡単な設定なのはもちろんのことですが、ギャグ作品の中でもダントツの軽いノリをほとんどすべてのキャラが持ち備えているのですがそこで妙なシリアス感が生まれてきます。そのふざけた雰囲気ばかりが目立っているためほんの少し真剣な話になるとがらりと雰囲気が変わるのですがこの天使と悪魔の話については特にそうです。天使と悪魔が再び争いあうように仕向けるまさに悪魔のような悪魔が存在するのですが、それとコンビを組むのはなんとテンテンくんが普段仲良くしている悪魔です。二人が勝負中もふざけていて、その代わりにひでゆきが例のごとくテンテンくんの何倍も真にになって取り組むのですが、テンテンくんが楽観的になればなるほど事態が深刻すぎてひでゆきが焦るという図式は見ている我々をもハラハラさせます。なぜこんな大変な出来事がここまで軽いノリで進行しているのか、視聴者がテンテンくんより先に気が付くので気が気ではありません。サイダネに関しては個人の問題ですが天使界と悪魔界については下界である人間界にも大きな影響を及ぼします。どうせテンテンくんはギャグなんだからなんとかなるんだろといっては身もふたもないですが、重要な問題です。簡単な言葉、簡単な図式であるからこそ小難しい単語や設定を並べられた作品よりも浮かび上がる問題像などが見えます。そもそも小難しい裏付けや設定をはぶいてしまえばたいていの物事からは図式などが見えてくるものですが、テンテンくんはその基本を我々視聴者に見せてくれます。なぜ争うのか、羽の色が違うくらいしかこの人たちに違いはないじゃないか、何かひょっとしてここまでギャグなんじゃないのかと思ってしまいます。が、現実もきっとこんな簡単な違い等が種になっている問題が少なくないように思います。
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