キャラクターから読み解く「人間賛歌」 - ジョジョの奇妙な冒険の感想

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ジョジョの奇妙な冒険

4.694.69
画力
4.38
ストーリー
4.44
キャラクター
4.63
設定
4.38
演出
4.50
感想数
8
読んだ人
36

キャラクターから読み解く「人間賛歌」

5.05.0
画力
4.5
ストーリー
5.0
キャラクター
5.0
設定
5.0
演出
5.0

目次

「不老へのアンチテーゼ」ジョセフという男

このおれが「波紋」とかいう、チャチな超能力だけにたよっているとおもっているのか…?(2部より)

ジョセフは作中、青年から老人まで年を経て活躍するキャラクターだ。しかし読んだ当時は歳をとった姿に疑問しか浮かばなかったのを覚えている。それは、

そもそもジョセフは波紋の力を使えるはず。ということは若いままの姿でいられるのに、なぜ彼は年老いる必要があったのか?

という疑問だ。実際、彼の実の母親であるリサリサは波紋の力で若い姿を保っている。当然ジョセフも、しようと思えば青年の姿のままいられたはずだ。一体なぜなのか?

この謎を読み解くキーワードになるのが、作者の荒木先生がジョジョのテーマだと述べている「人間賛歌」という言葉ではないだろうか。2部でのジョセフの敵は、不老不死の存在だった。それは言うなれば、生命としてのひとつの完全体だ。人間のように有限の寿命もなく、おそらく生殖行動も必要としないだろう。なぜなら子孫を残す必要がないから。「彼自身」が永久に残り続けるからなのだ。

対して人間は、限られた、長い歴史の中から見たらほんの一瞬の時間しか生きることができない。しかしそれ故に、子孫を、あるいはそれに近しい存在を残し、次の代へと伝えていこうとする。ジョースター家がまさにその体現なのだ。人らしく老いて、次の世代を育てるために、自分は一線を引き見守り続ける。それがジョセフを通して描かれている姿勢だ。ジョジョに描かれているのはそういった限りなく人間臭いヒーローたちだ。

他の有名な歳を取らないヒーローと比較するなら、サイヤ人との対比はなかなか面白い。あちらの作品では主人公がいつまでも現役で戦い続ける。よりファンタジー性の強い「永遠のヒーロー」で、また別の魅力があることを認めざるを得ない。

しかしジョジョの主人公は、歳を重ねるごとに「世代交代」していく。不老でいられる可能性のあるキャラクターがあえて老人となり、次の世代に新しい希望を託す、といったスタイルのおかげで、人間として「生きて伝える」ことの素晴らしさが強調されている。命をつなぐ行為は、シンプルな人間の本能であり、喜びなのかもしれない。ジョセフは、そういった重みを背負って存在しているキャラクターとしても過言ではないのだ。

老いることを誇りに思えたら、なんて素晴らしい人生なんだろう。しみじみとそんなことを思ってしまった。

スピードワゴンの生涯と忠義

おれぁおせっかい焼きのスピードワゴン!(1部より)

ジョセフに関する記事で「子孫へと伝えていくこと」が人間的で素晴らしい行為だと書いたが、これは実の子供に限った話ではない。血の繋がりがなくても、大切な相手を子孫代々まで守り手助けを惜しまなかった男がいる。それが1部から登場する男、スピードワゴンだ。

一体何が、彼が長きにわたってジョースター家を支え続けるきっかけになったのだろうか?様々な推論がある。「ジョナサンの人柄を心から尊敬していた」「ジョナサンの生き様を強く伝えていきたかった」「実はエリナが好きになってしまったが忠義を通すため夫という立場以外の場所から援助をした」など、ジョナサンとの忠義に重きを置くかエリナの存在を深く追及するかで多少印象は変わってくるが、共通して推測されるのは「他人のために自分の人生を捧げること」だ。

血の繋がりもない、出会ったばかりの他人に一生を捧げる、その生半可ではない覚悟の重さにくらくらしてしまう。しかしほんの出会いと動機があれば、人はそれすら可能にする。まさに「人間賛歌」、人と人が出会うことによって生まれる奇跡的な化学反応でありドラマである。忠義だけで人は繋がることができる。それも、子々孫々長きにわたって。生も死も関係なく。これこそスピードワゴンが魅せてくれた絆の形なのだ。

日常生活をしていて何気なくふと考えてしまうことはないだろうか?そういえばあの人に出会えていなければ、自分の人生はどうなっていたんだろうか、と。そうして他人との出会いにセンチメンタルに思いを馳せるのもたまには一興かもしれない。

おわりに~黄金の精神

去ってしまった者たちから受け継いだものはさらに『先』に進めなくてはならない(5部より)

ジョセフ、ジョナサンといった二人のキャラクター性を主に見ていくことによって、ジョジョという作品が「形を問わず、『次』の代へ精神を伝えること」といったテーマについて深く描きこまれた作品であることを再認識し、ますますこの作品が好きになった。実際、5部では「黄金の精神」という言葉が登場するが、作品内で改めて登場人物の口からテーマの確認をされるとまるでキャラクター同士が確かに時代を超えて精神を受け継いでいるような気がして、嬉しさを覚えるのだ。

今回挙げたふたりを含むたくさんの登場人物たちの生きざまの素晴らしさが、人間賛歌という素晴らしい一言にギュッと凝縮されている気がしてならない。今回紹介したのはほんの一例だが、読めば読むほど新たな「人間賛歌」のかたちを発見することができるジョジョはまさしく名作中の名作といえるだろう。

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第四部の始まり

100年前にも及ぶ、DIOとの決着をつけた承太郎たち。内容の濃かった第三部が終わり、舞台は日本の杜王町という一つの街に移ります。即ち第四部がスタートしました。個人的にはストーリーとしては第三部に譲るとしても雰囲気としては長いJOJOシリーズの中でも第四部が一番好きかもしれません。それは様々なスタンド使いである敵との闘いが描かれている一方で微笑ましい日常のエピソードにも描写を割いていてくれているからです。JOJOという作品はそのストーリー上、一つの敵を倒したらまたすぐ別の敵という展開が多く特にこの後の第五部などで顕著なのですがストーリーとしては濃くても読み疲れてしまうことも個人的にはあるのです。なのでこの第四部のような雰囲気の作品が好きなのです。第四部が始まり、いきなり承太郎が登場します。またもや主人公は承太郎かと思いきや、なんと彼にとって「年下」の叔父に会いに来たということでした。その名は...この感想を読む

5.05.0
  • kurioukuriou
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  • 493文字

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