日本語の美しさに魅了された作品です。
古代日本を舞台に、目に見えぬ神と目に見える神との戦いと、それに巻き込まれていくそれぞれの信徒達の物語。
絵は作者独特の固さは残るものの、作中の言葉も合わせ作品全体が大変丁寧で美しい。
神を扱う以上生半可な絵では納得できないが、デザインも表情もキャラ設定も満足のいく出来。
プロットもとてもしっかりしている印象。無駄な台詞ひとつもない気がする。
登場人物の名前ひとつも音や意味を大切に考えて名付けたのであろうと推察する。日本語の美しさと、言葉には命と大きな力があるのだという事を作品を通して感じた。作者はおそらく、生真面目な人なのだろう。
全編に暴力を描きながらも人の愛(神の人へ愛、信仰心)についてを大きなテーマにしていて、美しい心の中にも誰もが秘めている残忍さ・迷い・憎み・許し、そのどれも否定することなく話が展開される。
戦いの中に身を置きつつも、それぞれが誰かを大切に愛しひたすら前向きに生きる登場人物達は、ひとり残らず愛おしい存在である。
他にはない、何度繰り返して読んでも飽きない作品。また、年月が経っても劣化しない。いや、それ以上に新しい発見がある。
惜しむらくは長い。全巻揃えるのにずいぶん時間とお金を要した。一時期は諦めかけた。が、揃えて良かったです。
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