鬼才が荒ぶる物語
小生物語はざっくりというとブログまとめ本なのだが、ただのブログではなく、乙一の作り出した、どこからどこが本当で嘘なのかわからない、謎めいたブログまとめの一冊。
印象が強いのが冒頭に書かれた、「飴が枕の裏にびっしりあった」なんていう謎めいた話や「表面張力」という言葉を多用した漫画のパロディーの話なのはよく覚えている。
乙一はもともと自己紹介の自由に記載できるスペースや、あとがきでものすごくくだらなくて笑ってしまうような文章も書く事で有名だった。本文ではそれが嫌というほど発揮されている。
私は乙一ファンなので、本文の「梨が好き」というワードを嬉しく思った。憧れの乙一先生は梨が好物なのか!と。でもそれすら嘘なのか本当なのか…
この本にあらすじや登場人物はそれこそ無いに等しい、小説というよりエッセイに近い本であるが、読みやすさは本の暑さに反比例している。このブログを書くとき乙一自身は嬉々として書いていたに違いない。そうでなければこんなに読みやすく、たくさん続くわけがないからだ。
作者には妻子がいるが、大きくなった子供に読まれたら少し赤面してしまうのでは?と思うほどの荒ぶりっぷりである。
笑って笑い転げたいと思わせるようなそんな一冊だった。
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