誰の中にもある危うい欲望
多くの人が映画をみる理由の一つとして、その映画の世界観を疑似体験できるということがあるだろう。
よく言えば平和な、逆に言えば退屈な生活に飽き飽きした主婦。その頭の中によぎっては自らかき消す欲望を、そのままやってくれる主人公、梨花。
非常に痛快だった。
やってみなければ見えない景色を疑似体験させてくれる。
思うがままに制限を全てとっぱらいやりきった先にはおそろしく孤独な世界が待っている。一見戒めのように捉えたくなる。
しかし、梨花が逃亡する寸前に、隅と対峙した時、平穏を守るために隅がおくっている人生を語ったとき、「あぁ、つまらない。平和で無くてもやりたいことを全部やって死にたい。」と不覚にも思ってしまった。
普段、夫や子供を理由に気づかないふりをしていた私自身の欲望を梨花をして気づかされてしまい動揺した。いや今でも動揺している。
結末を知った上でもなお、その欲望にかられるのはきっと本物なのかもしれない。それをあぶり出したくて私はこの映画を選んだのだろう。
私もいつか梨花のようにひょんなキッカケで大それた道に踏み出してしまうかもしれない危うさを自分の中に見た。気持ちは湧き上がるものなので、変えられないが、危うい自分を認識しておきたい。
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