3兄弟、心の旅とインド
ダージリン急行…車内は思ったより綺麗で予想外に厳格なスタッフ長(こう呼ぶしかないけれど、お客さんにサービスするスタッフのリーダー的存在) 。
そこへ西洋人の男3人がバラバラに飛び乗ってくるところから物語は始まります。実はその前に登場する、同じく急行に乗ろうと走るビル・マーレイが主人公かと思いきやすぐにそうでないと知らされます。
いちいち仕切ろうとする面倒くさい長男フランシス、もの静かだが自己主張はする弟たちが、父親の死から立ち直る為に旅をし、幼い頃に出て行ってインドの修道院にいる母親に会いに行くというシンプルなストーリーです。
3兄弟を見ていて、大人になってそれぞれの人生を生きる兄弟ってこんなものだよなと思いました。たまたまそう生まれてきただけで、別の家庭に生まれたとしてもたぶん友達にはなれないだろうし、仲良くてどこか皆似ている理想の兄弟でもない、この3人もお互い牽制しあいながら旅を続けます。
それと対照的なのがふとした事から関わることになるインド人家族。どこまでが家族で、走り回る子供たちがどこまで兄弟なのか分からないなか、1人の少年の死は号泣して精神のバランスを崩すような母親が出てくるでもなく淡々と弔われ火葬されます。
それを黙って見つめる兄弟であろう少年の冷静さが、ある意味達観した印象を受けました。
人は必ずしも年を重ねる毎に色々な経験をしながら安らかな境地に成熟する訳ではないのでしょう。
鮮やかな色彩の映像美とポップな音楽がコミカルな3兄弟の旅を紡いでいる、そんな作品です。- あなたも感想を書いてみませんか?
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