修正に翻弄される一作 - クイーンズブレイド 流浪の戦士の感想

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クイーンズブレイド 流浪の戦士

2.502.50
映像
2.50
ストーリー
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キャラクター
3.50
声優
3.00
音楽
2.50
感想数
1
観た人
1

修正に翻弄される一作

2.52.5
映像
2.5
ストーリー
2.5
キャラクター
3.5
声優
3.0
音楽
2.5

目次

対戦型ゲームブックのアニメ化

果たして、対戦型ゲームブックと聞いてピンと来る人は何人いるだろうか。

広義にゲームといっても、現在では何らかの液晶デバイスに繋いで行うコンピュータゲームが世の主流であるが、一つの場所に一定の人間が集まり行うテーブルゲームもまた、常に需要がある。

将棋やチェスなどのボードゲームはそもそも古代に起源をさかのぼるというし、テーブルトーク・ロールプレイングゲーム(TRPG)は世界各国で根強いファンが存在するゲームだ。

『クイーンズブレイド』の原型である『ロストワールド』は、カテゴリでいえばテーブルトーク型のゲームに属するであろう。キャラクターごとに一冊本(ゲームブック)を買い、攻防の展開によってページをめくっていくという対戦型のゲームブックである(ゲームのルールについては、本考察で説明するのは大変難しいので割愛)。

『ロストワールド』の日本版『クイーンズブレイド』にとって重要なのは、「自分が与えたダメージによって美女たちの服が破れる姿を堪能できる」、ということにある。アメリカから輸入した当初は、ファンタジーチックで受け入れられなかった『ロストワールド』は、日本特有の「オタク文化」に染め上げられることによって一躍世に知られ、商業的にも大成功することになった作品なのである。

そのアニメ化が、本考察で取り上げる『クイーンズブレイド』だ。

「美女の服が破れる」という『クイーンズブレイド』最大の特徴はアニメにおいてもいかんなく発揮され、多くの視聴者の目を引いた…が、ここに少々問題があった。

白いモヤ、黒い影、見えない○○ このアニメ ○○ない覚悟

先にも取り上げたように、『クイーンズブレイド』は女性の露出が非常に多い作品だ。キャラクターたちは真面目に戦っているのだが、ごく自然に服が破け、あられもない姿になってしまう。しかし仕方がない。それが今作品のキモなのだから、当然の話である。

だが、地上波放映のアニメを観ると、露出部分の修正が凄まじくなってしまうのである。

あるときは白いモヤがかかり、あるときは黒い影がかかり…ひどいときは、何が起こっているのかさっぱりわからないほどだ。

アニメで放映するのだから仕方ないとはいえ、これは少々やりすぎだろう。『クイーンズブレイド』に何かを期待していた視聴者に対する裏切りともいえる。

地上波やインターネット放送でワリを食らった視聴者たちは、無修正版のDVDを観たほうがいいだろう。下心的な意味だけでなく、本当に作中の修正がひどいため、そうでないと作品を楽しめないのである(ちなみに、見出し部分の○○は皆さんのご想像に任せたい)。

いかんせん、作画崩壊がひどい

『クイーンズブレイド』はその成り立ち上、キャラクターデザイナーが複数存在する作品となっている。つまり、異なるデザイナーによって造られたキャラクター同士が同じ画面に登場するということだ。

そのため、作画部分には不安があったが、この部分についてはおおむね違和感なく仕上がっている(キャラデザの技量と視聴者の好みによって見方は異なると思うが)。

主人公となる女性キャラクターたちは総じて美しく、おのおの自分好みのキャラクターを見つけられるところであろう。声優陣もこれでもかと言うほど豪華で、キャラクターのイメージに合った配役がなされている。

主人公であるレイナ役に川澄綾子を持ってきたのは王道といえるし、清楚かつ和服美人なトモエに能登麻美子というのもベストだ。釘宮理恵の甘い声に千変の刺客メローナは意外な組み合わせだったが、コケティッシュな喋り方は実に堂には入っている(釘宮理恵は、かよわい少女や少年役にも定評があるが、実はエロいキャラを演じると凄まじい破壊力を発揮するのである)。

少年役や快活な少女役を演じることも多い水橋かおりに甘えん坊のシスコンキャラ・エリナを持ってきたことは実に素晴らしいし、ボーイッシュなリスティには甲斐田裕子、クローデッドに田中敦子という盤石の布陣を決めているのも評価できる。

このように、キャラクターアニメとして観るならば、『クイーンズブレイド』は完璧ともいえる設定を備えていた。

だが、いかんせん作中の線が雑なのが実に惜しい。

美少女・美女を最大のウリにしている作品なのに、人物の顔や肉体の描写は決して丁寧ではなく、時に作画崩壊といっていいレベルの崩れが見えている。

前述の規制の影響もあるのだが、動きももったりとしていて躍動感がないのが痛い。バトル作品であるのに、この力の抜けようはいかがなものだろう。アニメ放映の『クイーンズブレイド流浪の戦士』だけでなく、OVA版の『クイーンズブレイド リベリオン』でもこの有様なのだから、落胆してしまう。

『流浪の戦士』の続編である『クイーンズブレイド 玉座を継ぐ者』をまだ筆者は観ていないが、続編ではこの辺りがどうなっているのか、少々不安である。『リベリオン』でもあの有様なのだから、正直期待は出来ないが…。


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