シャーマンとシャーマンキングについて
憑依合体の重要性
物語の序盤に登場した憑依合体だがオーバーソウルの登場によって物語から消えていった。しかし物語の後半こそ憑依合体が重要だったのではないかと思う。
終盤につれて葉王や葉たちは甲縛式オーバーソウルを身に付けた。甲縛式は術者の身を覆って守りながら戦うものであり、必要最低限の質量で形成し密度が高いため頑丈で巫力の消費が少ない。逆に言えば、自らが戦わなければならない。葉王で例えるなら、スピリットオブファイアは本人が操っているとしても何もせずに動いているのはオーバーソウルであるスピリットオブファイアのみであった。一方甲縛式の黒雛は葉王自身が動いて戦わなくてはならない。葉や蓮も同様であり、自らが動いて戦うことになる。
ここで憑依合体こそ最も重要であると思う。簡単に言えば、葉より阿弥陀丸、蓮より馬孫のほうが単純な力が上ではないかということ。もちろん肉体の強度は変わらないが、反射神経や技術は圧倒的に上であることは、最初の憑依合体での戦いも見てもわかる。もちろん同じ霊で憑依合体とオーバーソウルを二つ同時にすることはできないが、甲縛式をしようして戦うときは阿弥陀丸などの強い人間霊を憑依合体させたほうが強くなると思う。
スピリットオブファイアについて
阿弥陀丸や馬孫や蜥蜴郎など人間霊はもちろん、コロロやモルフィンなどの精霊もしゃべらずとも感情を出している場面は多々あった。しかしスピリットオブファイアにはそういった感情が出てくる描写が一切なかった。スピリットオブファイアは感情があるのだろうか。
スピリットオブファイアは五大精霊の一つでグレートスピリッツから生まれた火の精霊であり、グレートスピリッツと同じく魂の集合体である。魂の集合体と聞けば、意思がないのは納得できるが、グレートスピリッツには同じ魂の集合体でも意思があり、オラクルベルによりそれを伝えてくる。矛盾があるように思えるがここで注目したのが、パッチ族が言っていた五大精霊はグレートスピリッツの一部が抽出されて完成した自然霊であるということ。つまりグレートスピリッツから切り離されたものと考えられる。トカゲの切れたしっぽに意思はないように、グレートスピリッツから切り離されたスピリットオブファイアを含む五大精霊は意思がないのかもしれない。むしろが五大元素によりグレートスピリッツのコミューンに入れたのでグレートスピリッツの意思が五大精霊の意思、五大精霊の意思はグレートスピリッツそのものの意思なのかもしれない。
恐山アンナについて
恐山アンナはかなりの実力者であるのは間違いない。ゴーレムの55万の内臓巫力をそそぐことができ、さらに葉王の式神前鬼後鬼を操ることができることからその実力は証明されている。
ここで一つ疑問がある。アンナはシャーマンファイトに参加する資格はなかったのだろうか。もちろん本人がシャーマンキングになる意思はなく、葉をシャーマンキングにしたいと思っていることは百も承知だ。しかし、アンナが受けるかどうかは別として、あれだけの実力者であるためパッチ族がテストを行いに来てもいいのではないかと思う。
考えられることはグレートスピリッツの意思であるということ。シャーマンファイトはすべてグレートスピリッツの意思によって決定される。そしてグレートスピリッツは全知全能である。アンナの意思はわかりきっている。それどころかすべての人間の意思をわかっていてもおかしくない。もしくは当時アンナは持霊を持っていなかった。そのためにシャーマンファイトの参加資格がなかったのではないかとも考えられる。
気になる点
不思議な点が一つある。それは葉やアンナがオーバーソウルを知らなかったという点だ。麻倉家は1000年以上前から続くシャーマンの名門家であり、オーバーソウルの存在を知らないわけがない。だとしたらなぜ葉明はシャーマンキングになるための最も重要な力であるオーバーソウルを葉に教えなかったのであろうか。
考えられるのはやはり意図を持って教えなかったとする。最初の蓮との戦いの後、病院で幼少時代の夢を見ていたが、そのとき毎日のんびり暮らせるからシャーマンキングなりたいといっていた。そのとき葉明が怒っていたので、楽に暮らすためにシャーマンキングになるようなそんな動機だったために教えなかった可能性もある。
それよりももっと現実的なのはオーバーソウルを自らの手で身に付けられないようでは到底シャーマンキングにはなれないということで教えなかったのではないかと思う。もしかしたらアンナもオーバーソウルのことを知っていたが葉に教えなかった可能性がある。葉をシャーマンキングにするための配慮だったのかもしれない。しかし麻倉家が葉をシャーマンファイトに葉を参加させるのは葉王を滅ぼすためであった。シャーマンキングになれないといったより、自らオーバーソウルを身に付けられないようでは葉王には勝てないといったのが本当の理由なのかもしれない。
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