亡き妻の無念さと、未来に向けた洋の思い。 - 天国からのラブレターの感想

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天国からのラブレター

4.004.00
映像
3.50
脚本
3.50
キャスト
4.00
音楽
3.50
演出
4.00
感想数
1
観た人
1

亡き妻の無念さと、未来に向けた洋の思い。

4.04.0
映像
3.5
脚本
3.5
キャスト
4.0
音楽
3.5
演出
4.0

目次

洋の悔しく悲しい思い、、突然1人になってしまった洋。

天国からのラブレターっていうことは、誰かが死んでしまうのだろうか、とだいたい予想はつきました。ラブレターということはカップルがいてその男女どちらかが亡くなってしまうのだろうか、そんな風に予想しながら見た作品でした。実際は非常に深く、辛い現実の話でした。この作品の終わりに、実際に現実で起きた話だったことを知った私は、ショックでいっぱいになり、かと思うと突然、恐怖のような感情が体全体に伝わりました。こんな事が現実に起こっていいのだろうか。あんなに幸せそうに洋を見送っていた姿が、どうしても頭の中から離れませんでした。離れて生活し、やっと一緒に暮らせるという時にこの事件は起きてしまいます。”幸せすぎて怖い”と言っていた場面があります。今まで離れて頑張ってきたのだからと、これからは三人で幸せになろうと言っていた二人は、本当に心から愛し合い、お互いを思いやり、今ある幸せを噛み締めていたでしょう。それなのに彼女の予想は悲しいことに的中してしまいました。4月14日、仕事に行く洋を見送った時に、洋が、こういいました。この時僕は何か出来なかったのか。。と、後悔と自分を責めることしか出来ない状態でした。こんな事が現実に起こるなんて、信じられませんでした。犯人は、事件を起こす前に下見をしていたのだろうか、幸せそうに散歩していた三人をいつもどこかに隠れて見ていたのだろうか。そう考えるとぞっとしました。犯人にとって何が気に入らなかったのだろう、幸せそうに笑う2人が羨ましかったのでしょうか。それとも誰でも良かったのでしょうか。残された洋のどうしようもない感情と悲しくて悔しさが滲み出た顔が印象深いです。



2つの命が消えた日に生まれた私の長男。


事件が起きた4月14日は、実は、私の長男が生まれた日でした。洋の大切な命が奪われてしまった日に、私の長男は生まれました。毎年、洋が辛い出来事を思い出す日に、私の家ではケーキを食べてお祝いをし、沢山の笑顔で溢れるのです。とても複雑な気持ちになりました。命が消えてしまった日と命が誕生した日。これから先ずっと洋は、命が奪われ消えてしまった日をどんな気持ちで過ごしていくのでしょうか。考えただけで涙がでてきました。作品中にあった遺影の中の笑顔の2人に、もう2度と触れる事はできないのです。


日々の日記に込められた洋を支えた妻の思い。


洋の支えとなった日記や手紙には、彼女の妻としての深い愛が込められていました。洋はそれを読み返して涙しますが、読み終えた後の洋の顔は、頑張って生きようという思いがあらわれていました。彼女が書いた手紙には、日々の家族の記録から洋や子供への深い愛が込めらていて胸が苦しくなるのです。こんなに頑張って生きてきた家族の命を奪い、犯人はどんな気持ちだったのでしょうか。第三者からみても犯人が憎くて憎くて仕方ありません。なぜこのような事件を起こしたのか、不思議でなりません。自分が幸せではなかったから、幸せそうに赤ちゃんをあやす彼女が許せなかったのてしょうか、自分にはないものを持っていた彼女が憎かったのでしょうか、それともただ欲求を満たすためだけだったのか、、犯人の気持ちは理解出来ません。これから先また同じような事件が起きたとしたら、と考えただけでも子供をもつ親としては、ぞっとします。同じような事件を起こそうとする人がいたらと考えたら、気軽に外も歩けないし、毎日が恐怖の中にあるようです。


亡き妻と子供に支えられる洋の未来。


この作品では、最初と最後のシーンがせめてもの救いであるかのように描かれていました。美しく大きく広がった海、今は亡き妻と子供に包まれ、見守られているかのような風景が広がります。ここには、1人残されてしまった洋が、これからどうやって生きていくか、どうやって生き抜いていけばいいのかを前向きに考えていこうとする姿が浮かびました。洋の心の中には、この広い海のように、亡き妻と子に見守られ続けることでしょう。そうであって欲しいと願います。この作品を通して、2度とこのような事件が起きてはいけない、起きないように願うばかりです。まだ若くして亡くなってしまった洋の妻は、突然事件に巻き込まれ、子供の命まで奪われ、あの日以来、洋に会う事が出来なくなりました。洋を1人で残していってしまう自分を責めたかもしれません。子供を守れなくてごめんなさいと、苦しむ妻はどんな気持ちだったのだろう。妻の無念さが心に突き刺さる思いです。夫婦の絆は深く決して他人が切ることなど出来ないものです。例え、離れ離れになってしまったとしても永遠に消える事はない絆なのです。それを洋はきっと分かっているのです。そう信じなければ生きていけない、、という意味かもしれません。切なく悲しい終わり方になってしまいましたが、心のどこかに、小さな蕾の様なものが見えます。それはきっと洋の未来を描く小さな光であると確信しています。


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