UN-GOの世界
UN-GOの舞台は近未来だが、坂口安吾を原案とするとおり、昭和初期文学のテイストが散りばめられている。
例えば「アイドルアプリ」は現代と地続きに進化したと思われる未来技術であるのに、前時代的な衣装、調度の中では浮いて見える。
そういった、「高尚な」懐古趣味と「チープな」未来技術の交錯が、滑稽であったりはするのだが、数話見続けるうちにその世界観に慣れ、馴染んでくる。
これがもし全てがファンタジーで構築されている物語だった場合、設定に納得がいくまで視聴者はただ振り回され、なかなか感情を移入できないこともある。
しかし、UN-GOは、知識として知っている過去と、想像出来る未来を織り交ぜ、リアリティのない独特の世界に強引な説得力を持たせている。
ただ、謎の存在「因果」が、別天王の登場によりどことなく知っている類の怪異(神)だと感じると、途端に魅力が半減したように思う。
UN-GOが謎解きミステリーだとすれば、因果の持つ能力はチートだ。
だから、物語の先には因果を絶対に必要とする流れがあるだろうと期待した。
人工知能風守では足りない。
果たして別天王が登場したわけだが、彼女はわかりやすくカルトの本尊であった。
別天王との対比により、因果の存在も謎のカタマリではなくなってしまった。
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