バブル時代を思い起こさせるキャリアウーマン - ワーキング・ガールの感想

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バブル時代を思い起こさせるキャリアウーマン

3.53.5
映像
3.2
脚本
3.8
キャスト
3.5
音楽
3.0
演出
3.2

目次

飽きさせないキャリアウーマン物語

1988年のアメリカ映画、ニューヨークのウォール街を舞台に、投資銀行のM&Aで働く人達を中心に描かれています。1988年は、バブル時代の最盛期と言われた時期ですので、映画の中でも、経済の不安などみじんにも感じ冴えない社会背景が重なり、今とは少し違った価値観、家庭よりも会社や業績が一番だという捉え方をした映画となっています。

秘書だったテスが、実力を発揮し徐々に成功したキャリアウーマンになる道のりを描いています。その構成とお話は、テンポよく進んで行くので見ている人を飽きさせずに、物語に集中させてくれます。だらだらした、説明的な台詞もなく、退屈させません。ムダな場面を大胆にカットし、次の場面を見せる構成の上手さを感じます。例えば、テスの上司であるキャサリンが、スキーへと遊びに行くのですが、次のシーンですぐに怪我をしてしまいます。場面の展開の早さが、小気味よく思わず笑ってしまいました。

女性の成功物語という、単純なストーリーに演出と脚本で、見事に色付けをしている作品です。

ボリューム感のある体格とキュートな声

この時代には、テスのような女性が魅力的だったのでしょうか?私には、ボリューム感満載の女性としか思えませんでした。洗練されたイメージからは、程遠くあまり魅力を感じません。また、着ている洋服も、古臭さを感じますし、短くした髪型もキュートとは思えないです。はっきり言うと、おばさん臭い感じがしませんか?どうにかして、テスをきれいな女性と思い込もうとしたけれど、残念ながらできませんでした。

しかし、驚く事にテスの声はとてもキュートなんです。英語の滑らかな発音に、少し舌足らずな彼女の声と、鈴の様な可愛らしい声がすごく素敵です。この映画を日本語吹き替えで見るより、テスの声が聞ける字幕モードで鑑賞する事をおすすめします。

時代背景がひと昔前

今から、30年程前の作品ですので、映画の中で時代を感じる事ができます。服装や髪型はもちろんのこと、車や経済の動きも、今はかわったんだなと実感できます。特に、物語では会社の買収や株の売買が真新しい事をしたように、描いていますが、現代では買収や買い占め、株の取引などはあたり前の世の中になってしまいました。この時代でしか味わえない感覚ですね。

ハリソンフォードとのカップルに違和感

ハリソンフォード役のジャックトレーナーとテスがいい関係になるのですが、見ていてちぐはぐなカップルのように感じませんか?2人の間には、愛を感じないのです。ハリソンフォードが年上過ぎです。さらに、2人からは、愛情が全く伝わってきません。男らしさ、女らしさに欠けています。特にテスからは女性の美しさや色気が感じられず、いくら裸に近い状態にしても、無理でした。どうせなら、もっと色っぽい主人公が良かったです。

女性が成功する難しさ

今でも通じる事かも知れませんが、学歴社会となったため、大学や大学院卒ではないと出世の道が開けない時代でした。現代では、大学を出ていても、大企業に入れない事や希望の職種につけない事が、あたり前のようになっています。そもそも、上役につける人はほんの一握りしかいないので、あたり前かも知れませんね。

そんな会社や社会の中で、女性が成功する難しさを感じました。映画では、実力と知識のあるテスが昇進していきますが、そもそも一つのアイディアを出しただけで、これほどまでに、持てはやされるというのはおかしくありませんか?アイディアは実力ではないと思うのです。今、良い提案をしたからと言っても、長くその後が続くわけはありません。バブルの崩壊を見たから、なおさらそう思うのかも知れませんが、こんな株や買収を続けていたから、バブルが弾けてしまったんだと思います。架空の取引で儲けるのではなく、本当のサラリーマンの実力は、セールスや商品開発の方が近いと思います。バブル期の良き時代を描いた作品なのだなと感じました。

意地悪役のシガニーウィーパーが物語を引き締める

「ワーキングガール」の中で、キャサリン・パーカー役のシガニー・ウィーパーが作品全体を引き締めています。物語の中での彼女は、憎たらしいヒール役を見事に演じ切っています。彼女がいなかったら、この物語は気の抜けたサイダーのような、なまぬるい物になっていたかも知れません。しかし、キャサリンとジャックの愛人関係には、なぜ2人がそんな関係なのか疑問が残るばかりです。

サラリーマンなら誰でも感じる上司への不満

女性のキャリアウーマンの成功を描いた作品ですが、サラリーマンには同じような経験が多数あるのではないでしょうか?

テスは、上司であるキャサリンに裏切られた事で激怒しましたが、サラリーマンはこのぐらいの事なら、黙って我慢する。そんな事はあたり前にあるのではないですか?社会にでて働く人たちの苦悩、上司と部下の上下関係、そんな部分にも、タッチしている作品だと思います。

バブルの時代を懐かしみながら、鑑賞見てはいかがでしょう?

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