スタイリッシュな仕掛けで、観客も参加できるマジック - グランド・イリュージョンの感想

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映画レビュー数 5,784件

スタイリッシュな仕掛けで、観客も参加できるマジック

4.04.0
映像
4.0
脚本
3.5
キャスト
4.0
音楽
4.0
演出
4.5

四人の手練れのマジシャンが、謎の人物の導きによってフォー・ホースメンというチームを結成。マジシャンの間で伝説となっている、「アイ」という秘密結社に通じる人物が考えたトリックを使って彼らがステージで演じるマジックは、瞬間移動によって銀行の金庫に眠る大金を盗む、などの不可能犯罪だった。

本物のマジシャンであるデビッド・カッパーフィールドが協力しているだけに、ホースメンのひとりになるアトラス(マイケル・アイゼンバーグ)が冒頭で演じるパフォーマンスにも仕掛けがある。

路上でパフォーマンスを演じるアトラスが、ぱらぱらとカードをシャッフルして客の女性に1枚覚えさせる。スクリーンにはめくられるカードが正面から映り、客の女性の視点になるので、私たちもカードを選ぶことができる。そのとき、あなた自身が選んだカードもストーリー通りダイヤの7で、それがビルに映るので驚いたのでは?

これはカードマジックのフォースというテクニック。そう、スターウォーズに出てくる能力と同じで、観客をマジシャンの思い通りに誘導する技術。高度な指先のテクニックで、ダイヤの7だけが明瞭に見えるようにシャッフルするので、多くの人はこの数字を無意識に記憶する。

不可能犯罪を扱ったミステリ作家にはマジックのトリックに通じた人も多く、本作に出てくる箱の中に斜めに置いた鏡によって、内部を空に見せるトリックを使った推理小説は、密室ものの大家J・D・カーも書いている。

本作ではホースメンの四人、嵐のニノ似のアトラス、脱出マジックのヘンリー、メンタルマジックのメリット、クローズド・マジックのジャックが仕掛ける不可能犯罪が、いかにして行われたか(ハウダニット)という点に興味を惹かせておいて、本当はなぜこのような犯罪を引き起こしたのか(ホワイダニット)、という点がポイントになっている。

ホースメンを追うFBIのディラン捜査官(マーク・アフロ)が、実はパフォーマンス中に事故で死んだマジシャンの息子で、その事故に責任があるネタばらし屋のサディアス(モーガン・フリーマン)らに、フォースメンを使って復讐するのが目的だった。しかし予期せぬ事に、インターポールから派遣されたキュートな女性捜査官アルマ(メラニー・ロラン)に恋したため、彼女にはすべてを打ち明けて身を委ねる、というのがラストだった。恋のマジックは、稀代のマジシャンでも操ることが出来なかった、という粋なオチである。

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他のレビュアーの感想・評価

夢見た世界

騙してなんぼ!始まりから終わりまで油断はしていられない!少しでも目を離すと今見ていた現実と数秒後にみていたものは偽りの世界のものかもしれないのですから。観ている側は平和そのもの、観ていればあ、ここで敵は騙されているのか、トリックに気付けていないのか、などバカにしたいところですが、そんなことを思っている私たちの目の前で観てきた筈の映像が偽りだと分かった時の衝撃と自分の目を疑うトリックに1秒たりとも眼をつぶるのが惜しくなってしまうのです。それぞれが自身のパフォーマンスに自信を持ち特技をわかり合ったうえで元はお互いを信じる事をせず心はバラバラで敵対しあっていた4人のパフォーマーはだんだんと自分たちの戦う相手は今そばにいる仲間ではなく大きな闇の組織であると気付いた。そんな彼らによって結成された犯罪組織はフォー・ホースメンと呼ばれ、数々の天才科学者たちからの難問な仕掛けをクリアしていくが、このトリ...この感想を読む

4.94.9
  • mayucommayucom
  • 72view
  • 1040文字
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謎解きが楽しい

ひきこまれた!まず冒頭のカードを受け取った4人が集まってホログラムが再生されるまでの仕組みのところでまずぐぐぐっとひきこまれました。ちゃんと見てる側を映画の中に連れて行ってくれるようなそんな描写ばかりで、あまり深く考えずに見たほうが楽しめる映画だと思います。ただ実際にマジックを本当にやっているわけではないと思うので、リアリティーはなくファンタジーととらえた方が良いかもしれません。ピラニアのところはヒヤッとしましたが、あれがあったおかげでどんなにピンチでもマジックだからあまり不安になるような場面はなかったですね。FBIの車で逃走し死亡したという描写があっても、きっと生きているんだろうなっと(笑)そういう意味ではハラハラするのはなくて残念。つじつまが多少合わなくても全部マジックだからでごまかしている感じはしました。つねに頭に?マーク見所はやはりなんといってもマジックでしょうね。物語の肝となる犯罪...この感想を読む

3.53.5
  • ころなころな
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グランド・イリュージョンの世界

天才マジシャン4人が作り出すスーパーイリュージョンたくさんのトリックがあり、目を離すことができない映画でした。1度だけではなく2度も3度も見たくなります。フォー・ホースメンを動かしていた黒幕は必死で彼らを追いかけいていたディラン捜査官と気づいたときに、「やられた」と思いました。いつも先々と先手を打たれていて今一歩逮捕できないでいたのは全部演技だったのか・・・と思って再度見てみたのですが違うと思いました。もともとこの3つのイリュージョンはディラン捜査官の父親(有名なマジシャン)がディラン捜査官が幼いころに命を落としてしまったときの復讐のために考えたものなのでこのイリュージョンにはかなりの思いがあったのだと思います。だとするとディランも全力で4人を追いかけたのでは。「アイ」の存在も気になります。4人が初めにカードをもらった時の興奮度からしてマジシャンの中ではかなり上の組織?なんでしょう。4...この感想を読む

4.54.5
  • mi-miomi-mio
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