スタイリッシュな仕掛けで、観客も参加できるマジック
四人の手練れのマジシャンが、謎の人物の導きによってフォー・ホースメンというチームを結成。マジシャンの間で伝説となっている、「アイ」という秘密結社に通じる人物が考えたトリックを使って彼らがステージで演じるマジックは、瞬間移動によって銀行の金庫に眠る大金を盗む、などの不可能犯罪だった。
本物のマジシャンであるデビッド・カッパーフィールドが協力しているだけに、ホースメンのひとりになるアトラス(マイケル・アイゼンバーグ)が冒頭で演じるパフォーマンスにも仕掛けがある。
路上でパフォーマンスを演じるアトラスが、ぱらぱらとカードをシャッフルして客の女性に1枚覚えさせる。スクリーンにはめくられるカードが正面から映り、客の女性の視点になるので、私たちもカードを選ぶことができる。そのとき、あなた自身が選んだカードもストーリー通りダイヤの7で、それがビルに映るので驚いたのでは?
これはカードマジックのフォースというテクニック。そう、スターウォーズに出てくる能力と同じで、観客をマジシャンの思い通りに誘導する技術。高度な指先のテクニックで、ダイヤの7だけが明瞭に見えるようにシャッフルするので、多くの人はこの数字を無意識に記憶する。
不可能犯罪を扱ったミステリ作家にはマジックのトリックに通じた人も多く、本作に出てくる箱の中に斜めに置いた鏡によって、内部を空に見せるトリックを使った推理小説は、密室ものの大家J・D・カーも書いている。
本作ではホースメンの四人、嵐のニノ似のアトラス、脱出マジックのヘンリー、メンタルマジックのメリット、クローズド・マジックのジャックが仕掛ける不可能犯罪が、いかにして行われたか(ハウダニット)という点に興味を惹かせておいて、本当はなぜこのような犯罪を引き起こしたのか(ホワイダニット)、という点がポイントになっている。
ホースメンを追うFBIのディラン捜査官(マーク・アフロ)が、実はパフォーマンス中に事故で死んだマジシャンの息子で、その事故に責任があるネタばらし屋のサディアス(モーガン・フリーマン)らに、フォースメンを使って復讐するのが目的だった。しかし予期せぬ事に、インターポールから派遣されたキュートな女性捜査官アルマ(メラニー・ロラン)に恋したため、彼女にはすべてを打ち明けて身を委ねる、というのがラストだった。恋のマジックは、稀代のマジシャンでも操ることが出来なかった、という粋なオチである。
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