人間道ド☆真ん中の感動とオモシロさ
究極の「ベタ」がイイ
「半沢直樹」でおなじみの
池井戸潤原作作品。
私が見たのはつい昨年2015年冬に放映された
阿部寛さんバージョン。
池井戸作品は「半沢直樹」しか見たことないんだけど
どちらにも共通したものをすごく感じたので
それが特徴なのか・・・?と、
他の作品も今度検証してみたいと思ってはいるところ。
で、その「共通したもの」をテーマに
レビューしてみようと思う。
なんかね、
究極の
「ベタ」
が イイんだよね。
すべての人間に共通する、
「なんだかんだいって
人間ってやっぱこうだよね」
っていう、
理屈超えて生きる活力がわいてくるような
ド真ん中、王道、直球、
そんな
「ベタ」さを
これまた ド直球に
描いてくれていて
そこが見てて気持ちイイんだと思う。
いわゆる
現代版勧善懲悪。
悪役がわかりやすすぎるくらいに
「これぞ悪役」として描かれてて、
「越後屋、おぬしも悪よのお♡」
「お代官様こそ~♡」
なんてやりとりが
今にも聞こえそうなくらい、
「ベタ」(笑) 。
だってさ、
あんなにあからさまに
「大企業ってエライんだぞ☆」
って表現する人、いまどきいるの?
って感じだしね。
「ウチみたいな大企業は・・・」
「あなたがたのような中小企業は・・・」
なんて、フツーそんな言い方、
ビジネスマンとしても
失礼すぎて言わないよねえ(笑)
それに、大企業の工場がまるで
蟻の巣みたいで
どう見てもどう転んでも
「わ~、大企業で働けるってステキ~♡」
とはならなくね?
って思わせる描き方。
これ、あえての誇張だよ、ね?ね?
って確認したくなる、オモシロさ(笑)
でもまあ
私も昔は、いろんな大企業の中で
働いてたことあって
まるで鶏小屋のケージだな、
ロボットと同じだな、
って感じる現場もたくさんあったので・・・
あんまり誇張表現でもなかったりもする、
のかもしれないけど。。。
まあそんな「ベタ」な「悪」に
勇猛果敢に立ち向かってゆく
サクセスストーリー、
という、
これまた「ベタ」なお約束に
なんだかんだいいつつも
惹き込まれてしまうんだろうけども(笑)
登場人物の存在感と躍動感
池井戸作品に感じる特徴として、もうひとつ。
登場人物が
みんなそれぞれ
不思議な存在感があって
この作品に出演した役者さんたちのこと
いやでも印象に残るんだよね、ってこと。
この作品で初めて拝見する役者さんたちが
結構出てたんだけど
「確実に覚えたぞ☆」
って感じだもの。
特別目立つようなキャラクター設定ではないのに。
なぜこんなに印象深く映るんだろう、って
私なりに感じてみると・・・
これは勝手な私の妄想だけど、
池井戸さんはきっと
人間が本質的に好きなんだと思う。
いや、池井戸さんだけじゃ、ないのか。
調べてみたら
半沢直樹と同じ演出陣、脚本、スタッフ・・・
このチーム全体が
人間が本質的に好き、なのかもね。
だから
描き方にリアリティがあるんじゃないかな。
その本質的なリアルさが
架空の話の中のキャラクターに命を吹き込み
生き生きとリアルに存在させ、
作品の中で
そして
それを見ている私たちの中で
ありありと生きていく。
そのエネルギーが
不思議な生命力を発し
役者と一体となって
いやでも命としての輝きを発する・・・
そんな気がする。
で、
どんな悪役キャラにも、
どこか憎めないかわいらしさがあって、
結局
この作品の登場人物みんな
なんだかんだいって
みんな愛すべき人間だよなー
って思いが
心のどこかに残る、
そんなあったかさが、あるんだよね。
「組織」と「個人」それぞれの在り方
個人的に私は
池井戸作品やこういう企業ドラマには
ある種の「違和感」というものを
感じざるを得ない。
というのは、
会社や組織に属する登場人物たちが
「会社」や「組織」に属することが
自分の「生きる」ことの絶対条件になっている、
ということが大前提になっている点だ。
私も長年一般企業の中で
会社員生活をしていたけれど、
そのほとんどが外部社員だったし
今ではフリーランスだし
もともと何かの組織に属することが
まったくもって適性でなかったため、
常に個人単位というか、
どこにも属さずに、
仕事場も次々に変わり、・・・
そうやって生きてきたのが
私にとっては普通のことだったので、
逆に、
会社や組織から外れされそうになる、
とか、
社内の立場が脅かされる、
みたいなことがドラマになってしまうこと自体が
実はあまり共感できにくい、
異世界のハナシのように
一瞬、感じてしまうんだよね。
会社以外に、いくらでも生きる道、あるよ☆
と、つい瞬間的に思ってしまいがちなんだけど、
この作品見てたら、
いや、でも・・・それも違うか、と。
「会社」や「組織」に属することが適性の人にとっては
まさにその中で生きれるかどうかは
生き死にに直結するくらい切実、だものな、と。
更には、 見ているとだんだん
それぞれの会社-佃製作所や、帝国重工-が
ひとつの生命体に見えてくる。
そこで働く社員たちは、それを構成する細胞であり、
「佃製作所」という、
「帝国重工」という
ひとつの命を生かすために、
社員みんなと連動しながら
一生懸命に生きている。
生き方や在り方は人それぞれ違うけど
「生きている」尊さは
本当に同じだなあ・・・
と、改めて実感する。
この作品は、
そんな普遍の生命の営みみたいなものを
ありありと実感させてくれた気がして・・・
人間道、
「ド☆真ん中」の醍醐味、
ここにあり!
ブラボー☆
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