暴君アイノン王と心優しいドラゴンのドレイコ - ドラゴンハートの感想

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暴君アイノン王と心優しいドラゴンのドレイコ

5.05.0
映像
5.0
脚本
5.0
キャスト
5.0
音楽
5.0
演出
5.0

目次

共謀して詐欺を行うドレイコとボーエン

ドラゴンスレイヤーたちの手で最後の一匹となったドラゴン(ボーエンによってドレイコと名前を付けられます)は、以前はアイノン王子の指導係となっていたボーエンに命を狙われます。しかしドレイコの「後のドラゴンが死んでしまっては、金貨を稼ぐことができなくなるぞ」という現実から手を組むことになります。ドレイコに村を襲わせ、ボーエンが金貨をくれればドラゴンを倒してやると持ち掛けるのです。ボーエンの放った矢を見事にキャッチし矢が当たったように演技をするドレイコ、1頭と1人はうまく村人たちをだまし金貨を稼いでいきます。元ドラゴンスレイヤーとドラゴンが共謀して人間に詐欺を働くのです。これ以上滑稽なことはないでしょう。

聖人のギルバートのことも忘れてはいけません。カーラがボーエンたちの詐欺を村の人に訴えた時(村の人は結局信じていなかったみたいですが)ギルバートが、「彼は正真正銘のドラゴンスレイヤーだ」と言ってくれたこともあり村人に詐欺ということがばれなかったのですから。

ドレイコとボーエンの友情

ボーエンはアイオン王子が暴君と化してしまったのは、心臓を分け与えたドラゴンに騙されたからだと思いドラゴンスレイヤーになっていったのですが、ドレイコに出会いドラゴンは人間は食べない・身の危険を感じた時にだけ相手を襲うということを信じるようになります。しかし、ドレイコがアイノン王子に心臓を分け与えたドラゴンだと気が付いていないボーエンは、ドレイコが少し変わったドラゴンという見解でしかないようです。

ドレイコとボーエンは一緒に過ごす間に友情を育んでいきます。肉を焼くために火を起こそうとしているボーエンの手伝いをしようと、火をふいて肉を焼いたり、ボーエンは急に苦しみだしたドレイコのために、ずっとそばに付き添っていたりしていました。一緒に詐欺を働いているからというだけではなく、お互いがお互いのことを信頼し合っているような関係になっていきます。

ボーエンはドレイコとアイノン王が心臓でつながっていることを知ったときでさえ、ドレイコを助けようとします。ドレイコは自分が命の素を持っているので、自分を殺せばアイノン王も死ぬとボーエンに告げます。逆にアイノンは自分が永遠の命を得るために、ドレイコの命を助けようとします。アイノン王を殺すために自分を殺せなんて、今までのドラゴン映画では考えられないストーリー展開です。死ぬのが怖いと言っていたドレイコですが、自分が生きている以上アイノンも死なず村の人々や、ボーエンが困ることになる方やいやだったのかもしれませんね。

最悪の暴君アイノン王

自分の命が助かるために、ドレイコに嘘の誓いをしたアイノン王。ドレイコにはアイノン王が邪悪な心の持ち主だということはわかっていたようです。しかし誓いと自分の心臓を半分分け合えたことで、アイノンが変わることを期待したようですが、見事に裏切られています。それどころかボーエンが城を去ったことで、暴挙ぶりはますます増し、民衆にいつまでも城を作り続けさせています。

人でなしぶりは最たるもので、民衆に襲われ死ぬ寸前のフライン王にかけよりますがそれは助けるためではなく、王冠を自分のものにするためでした。王冠を手で抑えようとしたフライン王にむかって「この王冠は僕のだ」と言って奪い取ります。死にそうな状態で王冠を抑えたのが、息子にとられまいとした行為であれば、息子も息子なら父親も父親だという感じです。ドラゴンに心臓を半分分け与えられる前のことなので、ボーエンの前でだけ騎士道の精神を重んじる王子の役を演じていたのでしょう。剣の技を教えてもらうためだけに大人しくしていたのであれば、ドレイコの言うとおり最初から邪悪な心の持ち主だったということになりますね。

アイノン王の母も捕らわれの身だった?

アイノンがカーラを妻にしようと城に監禁した時、アイノンの母であるアイリンが自分と同じ目に合わせたくないとカーラを逃がします。民衆との決戦の前にも、助っ人を連れてきたと言って手練れのドラゴンスレイヤーを雇っています。

アイリンは息子を助けたい一心でドレイコに助けをこいましたが、年がたつにつれそれは間違いだったと思うようになっていたのでしょう。ドレイコを殺せばアイノンが死ぬことも知っていて、手練れのドラゴンスレイヤーを雇ったようでした。せっかく助けてもらった息子の命を、ドラゴンを倒すことで絶とうと企てるなんて、よっぽどあの時死んでしまっていた方がよかったと思っていたのでしょう。

アイリンはフライン・アイノンとは違っていい王妃だったのではないでしょうか?カーラを逃がした時の様子からすると、フライン王と結婚したのも不本意だったのではないかと思えてなりません。同じ目に合わせたくないということであれば、不本意どころか捕らわれていた状態だったのかもしれません。

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