最後まで見ないとわからないおもしろさ - バタフライ・エフェクトの感想

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最後まで見ないとわからないおもしろさ

5.05.0
映像
5.0
脚本
5.0
キャスト
5.0
音楽
5.0
演出
5.0

目次

記憶喪失になる主人公

記憶喪失になるきっかけは通常強いストレスを感じた時と言われています。エヴァンも記憶を失っている間にひどくストレスを感じるようなことが起こっていました。そのため記憶を失ったのはその間に起こった事件が原因だと考えられていました。エヴァンは自分の記憶の解明のために大学では心理学を専攻しています。これだけだと悲惨な過去をもつ主人公というだけになってしまいますが、エヴァンの記憶の失い方は通常とは異なっていて、退行催眠をかけても記憶がつながらないのです。本当に欠落しているという感じです。

記憶を失っていた時が大事なキーワードになっています。まず最初はトミーとケイリーの家の地下室、次に実の父に面会した時、郵便受けの爆弾、飼い犬がトミーによって殺された時です。その間に起こった出来事はトミー・レニー・ケイリーにとっても思い出したくない過去らしく、誰に聞いても教えてくれません。記憶がないなんて羨ましいと言われるぐらいです。しかし、この記憶の欠落の仕方が重要だったことが後半になってわかります。

過去の書き換え

エヴァンは記憶がなくなるようになってからずっと日記をつけていました。記憶がなくならないようになってから7年たったとき、部屋に連れてきた女の子に頼まれて日記を読むと、書いた覚えのない失った記憶の内容が・・・。声を出して読むとその過去の場面にトリップし、そこで新たに受けた傷が現在に自分に反映しています。そのことで、その過去の場面に行きその時に起こった出来事を変えると現在に反映することがわかります。

エヴァンはケイリーを助けるため地下室での出来事を変えます。それによって自分の人生とケイリーの人生は劇的に変わり、一見何もかもうまくいったように思えます。しかし得たものがあれば失うものがあるのが自然の摂理です、少年院から出所したトミーに命を狙われ襲われたエヴァンはトミーを殺してしまい、刑務所に入ります。エヴァンは書き換えた過去の反映の仕方が間違っているたびに、日記から過去にトリップし原因となる出来事を修正していきます。そして脳の記憶も書き換えていくのです。その能力は父親から遺伝したものだということが分かります。面会のあと父親がエヴァンの首を絞める場面に記憶が飛びますが、エヴァンがしようとしていることを知りそれを阻止しようとしていたんですね。

究極の愛の形

過去を書き換えなかった時代に自殺してしまったケイリーを救いたいという一心で、過去を変えていき始めたエヴァンですが、自分も含めて全員が幸せになる未来を模索します。そこにはケイリーの隣にいるのは自分でありたいという欲が追加されていました。そのためトミー・レニー・ケイリーが幸せになっていてもケイリーの隣にいるレニーに嫉妬してしまい、また癌になった母を助けたいという対面的な理由もできたこともあり、また過去を変えます。最初はケイリーのため、友人のためと行ってきた過去を変える行為でしたが、やはり過去を変えるチャンスがあれば自分のためにやり直したいと思っても当然の成り行きでしょう。しかし自分の利益のために使用したとたん、一番助けたかったはずのケイリーが死ぬことになってしまいます。そしてエヴァンは決断します、ケイリーが大嫌いだった父のもとに残ったのは「エヴァンと離れたくなかったから」ということを思い出し、二人が知り合った時に自分に対する気持ちをなかったことにすることで、全員を救う方法を選びます。

タイムトラベルを題材にした映画で必ず出てくるのが、不用意に過去を変えると現在に影響を及ぼすと言われる点です。タイムトラベルをして現在に戻ってくると、良くも悪くも現在が変わっています。どの時代にも戻ってきた時点までそこに自分がいます。パラレルワールドという考え方です。人は選択をするたびに選択肢の分だけ世界が広がっていき、この映画の主人公エヴァンも選択するたびに新しい世界へと変わっていきます。あのときああしていれば、こうしていればと今現在の自分を間違っているととらえて、正しい選択を模索していきます。しかし正しい選択は本当にあるのでしょうか?それこそ選択肢は無数にあります、選択肢の数を制限しているのは自分の頭です。最初の方にも言ったように、何か得れば何か失うものがあるのが自然の摂理です。どんな選択をしても必ず得るものと失うものがあるのであれば、間違った選択というものはないのではないかと思います。選択したのが自分の意思でという自覚があれば、どんな選択でも間違いにはならない気がします。この映画では選択の正解はエヴァンがケイリーと一緒に歩む世界をあきらめて、みんなが幸せになる選択をします。しかし、これが本当に正解だったのかどうなのか、それは過去を変えたエヴァン自身にもわからないことでしょう。ただ一つ言えることは、自分が納得できているかどうかということではないでしょうか。こうして考えてみるとタイムトラベルや、過去の出来事を書き換える能力があったとしても、使う意味があるのかどうか疑問に思えてきますね。

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