近年のガンダム作品の中で最高水準
外伝かと思えば、立派な作品の一つ
最初は小説作品を書店で発見し、「あぁ、またガンダムの外伝作品が出るのか」といった程度の評価しかしていませんでした。
しかし、それが映像化するということで「マジ!?」と衝撃を受けたものです。
そして実際にアニメとなったUCを見てみれば、とても外伝作品とは思えないハイクオリティーな作品に仕上がっているではありませんか。
作品自体はOVAのような扱いで7つに分けられているのですが、7つだからこその凝縮されたストーリーと、それでいてストーリー展開の整合性がきちんと確保されているための違和感のなさと見やすさが特徴です。
ガンダム作品らしい、生の人間らしい感情をむきだしにしたキャラ同士の掛け合いも魅力的で、ついつい魅入ってしまいます。
そんな中でも主人公の成長と、最初から最後までの人格的な一貫性が貫き通されているところは、キャラづくりとストーリー構成をきちんと行っている作品であることを示しています。
ただ、その終わり方が決して報われるかと言えば、その限りではありません。
今作は「逆襲のシャア」と「F91」および「Vガン」の中間の時系列として描かれているものであり、のちの大きな戦争を既に決定づけられているので、グランドフィナーレ的な終わり方をできず、極めて「無難」な終わり方をしているように思えてしまいます。
後述の「サイコミュ」のことも考えると、エピソード7については少し評価が難しいところではあります。
数多くのMSV機体
外伝作品らしいと言えばその限りですが、この作品には過去作のモビルスーツのバリエーション機体が登場します。
特に「ジオン」側のモビルスーツのバリエーションは豊富で、初代ガンダムやその外伝派生作品に登場するモビルスーツのバリエーションが数多く登場して、「おお!こいつが出てくるのか」と驚かされたものです。
しかしながら、その登場は実に自然な流れであり、「ジオンの残党」という肩書がそういったバリエーション豊富なモビルスーツの登場を容認しつつ、そのビジュアルで楽しませてくれます。
比較的直近の作品のバリエーション機体も登場し、ストーリーを盛り上げてくれています。
また、連邦側にも数多くのバリエーション機体が登場しています。
連邦側の機体のバリエーションで驚かされたのは「バイアラン」や「アッシマー」といった「Zガンダム」時代のモビルスーツのバリエーションが豊富に登場していたことです。
正直、悪者扱いされたティターンズ製のモビルスーツが現役で登場するとは思っていなかったので、胸躍るものがありました。
その他には「ジェガン」系のモビルスーツのバリエーションが数多く登場したのも良いですね。
量産機のバリエーションが豊富なことは、作品のリアリティをより高めてくれました。
バリエーションの分類については、連邦側は「Z」と「逆シャア」時代のモビルスーツが多く、ジオン側は「初代」「ZZ」時代のモビルスーツが多いことですね。
個人的に好きだったモビルスーツである「ズサ」が登場したおかげで、プラモデル展開されたことは嬉しかったです。
しかし、そうしたバリエーション機体を登場させるだけでなく、主人公機やライバル機にはオリジナルの機体を登場させているのはやはり見ものです。
特に主人公機「ユニコーンガンダム」が、「NT-D」によってガンダムに変化するギミックには心底驚かされたものです。
通常サイズの機体だけでなく、大型モビルスーツ、モビルアーマー、戦艦にも様々な登場機体が用意されているのは圧巻です。
サイコミュ兵器の圧倒さ
この点は少しどうかな?と思っていました。
確かに、ニュータイプや強化人間でないと操作することのできないサイコミュ兵器は、どの作品においても圧倒的な火力を持つ兵器として描かれていました。
しかし、特にこの作品においては「ネオ・ジオング」の持つ兵器「サイコシャード」がやりすぎ感がありました。
「武器だけを破壊する」「時間をさかのぼる(感覚だけ)」「自壊する」といった、あまり説明がつけにくい兵器を登場させることでラスボス感を出しているのは、まあ分からなくはありません。
しかし、説明できない兵器は戦争を題材としているアニメとしては現実味を乖離させるため、ガンダム作品の兵器としてはいささか評価しにくいところもあります。
また、その後に「ソーラシステム」だったか「コロニーレーザー」だったかの攻撃を、たった2機のモビルスーツで食い止めているところも、ガンダム作品としての現実味を失わせていると感じてしまいます。
確かに、その前段階の作品となる「逆襲のシャア」で、アムロがサイコフレームでアクシズを押し返した描写はありますが、あれはクライマックスとしての表現として評価することができます。
しかし、今作ではそれがいくつも登場しているので、ガンダム作品としての現実味を大きく引きはがしているように感じてしまいます。
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