誰かのために生きるって幸せなこと
決して長い話でもないし、驚くようなどんでん返しがあるわけでもないし、奇想天外な展開があるわけでもないのに、忘れることのできない何かがあるお話です。 若い画家が不治の病にかかり、ベッドわきの窓から外の壁にはっている蔦を眺めては、あの蔦の最後の一枚が落ちたら自分は死ぬだろうと言っています。事実、葉が散っていくごとに、容体は悪くなっていき、最後の1枚の葉が残されるだけとなります。そんな時に、よりによって嵐がやってきて、誰もが絶望的な気持ちで窓を開けると、そこにはなんと1枚の葉がしっかり残っているのです。 それは実は、傑作を描くことができずどこか人生に投げやりだった老画家が、彼女のために嵐の中で描き上げたもので、彼はその時の無理がたたってなくなり、一方女性は生きる気力を取り戻します。 それまで投げやりだった老人の思いやりが奇跡を起こし、老人は幸せそうに死んでいくのです。きっと奇跡は老人にも起きていたのでしょう。誰かの心を動かすような傑作を描き、自分も誰かの役に立てることに気付くという奇跡が。 誰かのために生きることができるというのは本当に幸せなことだなあと思います。
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