生きることの意味、死ぬことの意味を考えさせられる
高倉健が妻を亡くした、実直な刑務技官を演じる映画です。高倉健は、イメージそのままの実直で寡黙で、心の奥に深い愛情を秘めた男を演じています。高倉健ファンなら見逃す手はないでしょう。 ストーリーは、妻を癌で亡くした後、突然、遺言状を渡され、「遺骨は故郷の海に散骨してほしい」というメッセージと、故郷の郵便局で局留めの手紙を受け取ってほしいという伝言を受け取ります。寄り添っていたつもりなのに、まったく知らなかった妻の願いの真意をはかりかね、混乱しつつも、退職後には2人でキャンピングカーであちこち旅をしようと妻と語り合った夢を現実にするため、北陸から九州まで、キャンピングカーで向かう男。その道中では、元教員と身分を偽る放浪の車上あらしの初老の男、妻の浮気と向き合うのが怖くて出張の連続である駅弁の出張販売を続ける青年、中年でありながら青年の部下であるどこか訳ありげの男、などさまざまな人と出会います。彼らの心を静かに受け止め、まるで鏡のように映し出すさまは、これぞ高倉健!という感じです。 そして、ゆっくりと妻の死を受け止め、妻の心を感じ取り、何か一皮むけたような清々しい表情を見せるラストシーンは、決して派手ではないのに、心をとらえて離しません。 生きることとは? 親しい人の死を受け入れることとは? そして、死ぬということとは? 気付けば自分の内面と向き合っている静かな美しさと強さに満ちた珠玉の作品です。
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