切ない愛の物語
表紙はちょっと怖いですが、内容は怖くないです。 「雪は白姫の涙という」雪降る景色の中で進んでいく短編集です。 牙狼の山では少女の憎しみから愛情に変わる様子が伝わってきて、ラストのシーンでぐっと持っていかれます。 氷の花は、序盤の男のエゴっぽい部分に疑問が浮かびますが、それ故に最後の光景は余計に心に突き刺さるものになっています。 比翼の翼では、男の気持ちと女の気持ちが同じなのに対し、お互いの望む形が上手く手に入れられないことの表現・鷺との対比が切ないです。 どれも愛が大きなテーマとなっている物語です。付随して悲しみもついてきます。 話の構成もラストも真新しいものはありませんが、色の濃淡と毛筆で描かれた世界は今までの漫画とは一味違うものに仕上がっていてカッコイイです。筆で描かれた絵が、今までにないような独特の雰囲気を醸し出しており、和風の物語にマッチしています。 狼の毛並み、人間の髪の毛、血…筆の描き味が似合っています。 表紙も新装版?では味わえない触り心地でこだわられていますよ。
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