探偵ガリレオの感想一覧
東野 圭吾による小説「探偵ガリレオ」についての感想が4件掲載中です。実際に小説を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
面白さを伝える技術
言わずと知れた福山雅治主演だったドラマ・ガリレオの原作。ドラマを見て興味を覚えて本を購入した口だが、読めば読むほど東野圭吾の文章力の高さに脱帽する。この本はいくつかの話が集まった短編集だが、話によって書き方が変わる。一般人視点から始まったり、犯人視点から始まったり、一般人視点かと思いきやそれが犯人だったりと、実に巧妙な文章で書かれている。トリックの方は科学的なものばかりで、はっきり言ってその手の学はないのでどういう意味かちんぷんかんだが、読んでいると何となく「なるほどねぇ」と納得してしまう。普通、科学的な立証というのは目で実際に見たりしなければ分かり難いのだが、東野圭吾の文章は文字だけでも何となく浮かぶからだ。まさに彼による文字の魔法である。普段はライトノベル系を多く読むので、こういった本をたまに読むと「文章の難しさ」と「魅力」を強く感じる。絵も映像もなく、文字の羅列しかないというのに...この感想を読む
実におもしろくない
ドラマが大ヒットして一躍有名になった作品ですね。実に面白く無いです。基本的に話題作というのはなにかしら面白いところがあるものなのですが、全くありません。ミステリーを少しでもかじったことがある人ならば、トリックや犯人の設定などの稚拙さが気になりますし、科学的という触れ込みですが、科学的、論理的ではありません。まぁ、おそらくこれは今まで何も本を読んだり、科学に触れてこなかった何も知らない人しか騙せない作品です。文章も良くないです。原作には福山雅治は出て来ませんし、可愛いお姉ちゃんも出て来ません。そういうのを期待するのであれば、ドラマや映画を見たほうがいいと思います。久々に本当に実に面白く無い作品でした。
ガリレオの短編集!より科学色の濃い作品です!
ガリレオの短編集で、もう1つ「ガリレオの苦悩」がありますが、そちらは人間ドラマを中心に書いているのに対し、本作では科学の専門的知識がふんだんにちりばめられ、より科学色の濃い作品になっています。それ故に、科学が得意でない方は読み進めるのが難しいかもしれません。賛否両論の作品ではあります。ただ、私個人としては科学をずっと学んできていたので、非常に興味をそそられる難解トリックが多く出てきて楽しめました。確かに動機の深みだとか人間関係の複雑な絡み合いという演出が少なかったのは、短編集としての悪さが出てしまったのかもしれません。「ガリレオの苦悩」の前に本作を読むといいかもしれません。
私は原作の方が好きかな
ドラマ化もされているので、ドラマの方で知っている人が多いかもしれませんが、私は原作の方が好きです。まず、ドラマでは相棒が女性刑事になるのですが、原作では大学時代の友人である男性刑事である点。お互い気心が知れていることもあって、やりとりがずっと軽妙でおもしろいです。ホームズとワトソンから続く古典的な流れと言えば、流れなので★-1にしましたが、古典的な分安心して楽しめる部分はあります。物語は、不可思議な現象を伴う事件を刑事が物理学の準教授のところに持ち込んで、2人でその謎を検証するというパターンで統一されています。物理学とか化学とか専門的に学んだ人にしか思いつかないようなトリックがおもしろいと思います。