ぼっけえ、きょうてえの評価
ぼっけえ、きょうてえについての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が2件掲載中です。
各項目の評価分布
ぼっけえ、きょうてえの感想
生理的にイヤ〜な感じを堪能できる短編集。
著者の出身地・岡山の方言がその力を遺憾なく発揮し、物語を盛りたてています。「きょうてえ、きょうてえ…」など、意味もそうですが、音としておもしろい、声に出してみたくなるフレーズをそなえた短編です。しかし個人的に一番こわかったのは「密告函」です。コレラが出た家を密告する函の管理を託された主人公が経験する恐怖。病気の発現はその家の命運を左右する一大事で、それを告げるか告げまいか、逃げ出したい一心を抱えながら、故ある女とただれた関係におちいってしまう、しめっぽくむっとした感じをよく出している文章に、不快感をあおられます。全体的にねちねちしたところを意図的によくあらわした文章で、話の筋というより、生理的にひんやりさせられるホラーだと思います。