小さな森の、大きな収穫
スローフード、スローライフつくし、ふきのとう、アケビにわらび、クワの実…バブル期華やかなりし頃には、それらは質素で珍しい田舎料理の食材でした。時代はヘルシー志向へ移行し、和食が持て囃されるようになった現在、これらは高級食材となり、とても日常的に手が出ない値がついて都会の野菜売り場に鎮座しています。そういった食材を自分の手で採集し、三度の食事とする生活。これをどうして貧しいといえましょうか。「リトル・フォレスト」は、著者・五十嵐大介氏自身の自給自足の生活体験を、主人公・いち子に反映させて描かれた作品です。架空の集落・小森。ああ、だからリトル・フォレストなのか、と読み始めてしばらくして気づきました。スケッチ画のようなラフなタッチながら、卓越したデッサン力と瑞々しい描写力。デジタル機器のみで漫画を描く作家さんが増えた昨今ですが、これ、ワク線以外は定規をほとんど使ってないんじゃないかしら?発表...この感想を読む
3.53.5
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