心理療法個人授業の評価
心理療法個人授業の感想
アタマをやわらかくしてくれる素敵な授業
箱庭療法の権威・河合隼雄を先生として、生徒役のイラストレーター・南伸坊が、心理学のもっとずっと手前のソボクな疑問から、心理療法への疑問まで、しれっと質問、考えていく本。インタビューや一問一答といったスタイルではなく、章ごとに伸坊さんのユニークな考察や体験談から話が始まり、とっつきやすく「心とはなにか」というおおきな命題に迫っていく。押しつけがましい話や、決めつけ的な心理学の常套句はほとんど登場せず、わからないところには「それは医者にもわかりません」と言える河合先生も素敵だし、何より随所にシンボーさんの脱力的な挿絵が入り、深刻な空気をいっさい見せず、話は楽しく、さりげなく深くなっていく。こんな授業がもしあったら混ざりたい。読みやすく、かつ心の問題を考えるヒントにあふれた本です。