こころの処方箋の評価
こころの処方箋の感想
カウンセリングのバックヤードをのぞく本。
臨床心理学者・箱庭療法の第一人者としても名高い著者の、かなりくだけたエッセイ集。「人のこころなどわかるはずがない」「心の支えがたましいの重荷になる」といった章のタイトルからもわかるように、「プロのカウンセリングならこんなふうに解決するんですよ」という内容かと思いきや、まったく逆の「プロだってこんなに困ることがある」「わからないものはわからない」といったホンネが語られている。それだけに、読みやすいけれど読後感はけっこうヘビーだ。著者自身が体験した難しいクライアントとの対応といった実体験を織り交ぜながら、こころについての「考え方」を示してくれる本。凡百の精神科医によるわかったような指南本よりずっと考えさせられる。