岸和田少年愚連隊の評価
岸和田少年愚連隊の感想
単なる不良モノではない、青春群像小説にして「怪獣モノ」のエッセンスをも含む、渾然一体とした魅力を秘めた一作
喧嘩小説である以上に本物感溢れる青春小説中場 利一氏の筆による本作は今なおたびたびメディアで言及されるロングセラーとしての地位を確立しているように思えます。映画版に出演したナィンティナインの二人が一線で活躍を続けていたりという部分はあるにせよ。常に誰かが書いてきた「不良物語」という一ジャンルの中でも、ここまで「息が長い」作品は珍しく、世代を超えてファンが多い作品だとも言えます。では何故、息が長いかという点ですが、シリーズを一通り読破した身としましては「本物感」がその理由の一つに挙げられるのではと思います。実話ベースの「チュンバ」やその仲間たちのいささか血なまぐさい青春群像劇なのですからリアル感があるのは自明ですが、不良一代記的な自伝作品は他にもたくさんあり、ただリアルなだけでは特筆すべき個性、とは言いにくい部分があります。しかし本作、というより「岸和田少年愚連隊」シリーズ全般に関して言...この感想を読む
愛すべき悪ガキの青春物語
作者の実体験を元にした物語この物語はタイトルにもある通り、大阪府岸和田市が舞台となっている。 岸和田市出身の有名人といえば、元プロ野球選手の清原和博がいる。 自分が岸和田を知ったきっかけは、テレビで見た「岸和田だんじり祭り」がそうである。 岸和田だんじり祭りといえば毎年9月に行われ、テレビなどでもよく取り上げられているので目にした人は多いと思う。岸和田自体かなり治安が悪いらしく、気性が荒いのが特徴らしい、作中でもそのように書かれている。 1996年には、井筒和幸監督、ナインティナイン(岡村隆史、矢部浩之)主演で映画化されている。 物語は1970年代(昭和45年頃)ヤンキーという言葉もまだなかった時代、主人公リイチことチュンバと、その仲間のケンカに明け暮れる日常を中学、高校時代を軸に書かれているのだが、彼らのケンカの描写が本当に信じられないくらいエグいのだ、鉄板をカバンに仕込んで、それで相手の...この感想を読む