河童の評価
河童についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が2件掲載中です。
各項目の評価分布
河童の感想
機知と風刺と諧謔と冷笑を華麗に駆使する、芥川龍之介の晩年の問題作「河童」
芥川龍之介の小説は、意識的に計算された緻密な構成と、効果的に選択された独自の文体を持つ作家で、どの作品を読んでも、すみずみまでその効果を計算され尽くした、知的な操作による創作の方法は、初期であろうと晩年であろうと、終始一貫していたと思います。舞台と人物との選択は、時間的空間的に奔放自在を極めています。古今を問わず、東西に渡っており、王朝期あり、江戸期あり、開化期あり、大石内蔵助あり、滝沢馬琴あり、松尾芭蕉あり、鼠小僧次郎吉あり、スサノオノミコトあり、ツルゲーネフあり、トルストイあり、盗人あり、殺人者あり、姫君あり、-----と多種多様です。文体もまた、客観描写体、独白体、書簡体、談話体、問答体など、ありとあらゆる種類を駆使し、あるいは、欧文調、漢文調、南蛮語調、翻訳調、談話調など、時により、場合に応じて、正に変幻自在の妙を尽くしながら、しかも、歴然とした芥川独自の文体を創り出しています。しか...この感想を読む