妄想が現実を侵食する~くせになる岸本佐知子の脳内劇場~
果たしてこれはエッセイか?独特の奇妙な世界感 変わった思考回路を持った人だな…、というのが、エッセイを読んだ最初の印象。その前にこれをエッセイと言っていいのか、という疑問も湧く。このエッセイを読むまで、私はエッセイというものは書き手が実際に体験したことや考えたものを書き連ねたものだと思っていて、辞書などで調べてみても、その認識は間違っていないと思われる。だが、彼女のエッセイは、実体験を書いているのかと思えばそれは現実とは異なる奇妙な世界の話だったり、過去の思い出話は単なる記憶違いか、それとも本当にこんな変なことがあったのか判別できない不可思議なものであったりする。 どんな人なのか気になってネットで検索してみると、出てきた写真は想像と違いなんとも普通、というかむしろかわいらしい容貌。この人が脳内でムカつく人間をぶった切ったりトイレットペーパーと会話しているなんて、想像もつかない。 過去の...この感想を読む
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