風姿花伝のあらすじ・作品解説
風姿花伝は、室町時代の中頃に成立した世阿弥による能の理論書である。 著者の世阿弥は能の大成者として知られるが、それまで父の観阿弥から受け継いだ能の奥義は書として著されていなかったので、世阿弥自身が会得した芸道も含め、その奥義を子孫に伝えようと一族の秘伝書としてこの書を著したとされている。 秘伝書として書かれているために、20世紀に入った明治期までその存在はほとんど知られていなかったが、現代では能の原点の書として名高い。 この書は能の修行法、心得、演技論、演出論、歴史、美学などについて書かれた能の解説書である一方で、全ての芸の道に通じる芸道論または日本の美学の古典としても高く評されていて、能の造詣を深めたい人のみでなく、芸道全般や人生論に興味のある人からも広く読まれている。 この書が出典とされている「初心忘るべからず」や「秘すれば花」などは現代社会にも通じるところが多く、人生の指南書としての示唆に富んでいる。
風姿花伝の評価
風姿花伝の感想
芸術を志す者の必読書
室町時代(1300年代前半)の能の大家であった世阿弥が書き残した、後世の為の理論書です。一応能の説明ということにはなっていますが、そのほとんどは現在にも通づるかなりハイレベルで明快な芸術論になっています。例えば「初心忘れるべからず」という有名な言葉があり、誰もが知っている言葉で、始めた頃の気持ちを忘れるな、という意味で使われます。それは風姿花伝の中の言葉です。しかし、実際この言葉の意味するところは、始めた頃(少年としてデビューした頃)は物珍しく若さもあって、誰もが称賛してくれるが、それは本当の華(感動)ではないので、精進を怠るなという意味です。かなり奥が深いので是非芸術を志す人には読んで貰いたいですね。