魔術士オーフェン はぐれ旅 新装版の評価
魔術士オーフェン はぐれ旅 新装版の感想
コミクロンがもし生きていたら?
コミクロンが死んだ理由「我が呼び声に応えよ獣」においてあっさりと殺されてしまったコミクロン。当時のオーフェンも「彼はコミクロンだったのか」で済ませてしまう始末でしたね。しかしこれは無理もないこと、だってこの巻が書かれたときはコミクロンの設定なんてほとんど無いも同然だったのですから。この時点では牙の塔時代のクラスメイトの一人でしかなく死ぬことで化け物と化したアザリー、というかチャイルドマンの恐怖を際立たせるだけの存在だったのです。哀れなコミクロン。プレオーフェンにおけるコミクロン人気ところがどっこいオーフェン自体の人気が出て、最初は一作完結のつもりだった作品の続編や無謀編が続けられていくなかでついにプレオーフェンにおいてコミクロンの出番がやってきましたね。まさかのおさげやキースもかくやという感じの奇行っぷりに私を含めた読者のハートをがっちりとつかんでくれました。彼のおかげでドーパミンやエ...この感想を読む
魔術師の憂鬱
この新装版5は原版であるところの「背約者」の上下巻を纏めたものです。西部編、あるいは第一部のクライマックスであり最初から最後まで通してボリューム満点な内容となっています。原版の上と下それぞれの表紙を見比べてみると、オーフェンの心境の差がよく分かると思います。上ではクリーオウ、マジク、サルアの助力があり皆真剣に戦っているもののオーフェン一人どこか気弱な表情。一方下では満身創痍で倒れているアザリーを守るように立っているふてぶてしい表情のいつもらしい彼の姿です。上の彼の姿は、やはりネイムを殺してしまったという罪の呵責のよるものです。一種の「魔術士の憂鬱」というべきものでありオーフェンは魔術士として生命線でもある魔術を使えなくなってしまいます。キムラックの中枢に潜入していて強敵が待ち構える中でこれは致命的でもあり、またマジクの増長を招く一因ともなってしまっています。そんなオーフェンに対して下でア...この感想を読む