ヒトリシズカの感想一覧
誉田 哲也による小説「ヒトリシズカ」についての感想が2件掲載中です。実際に小説を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
一気に読破
六章の構成で描かれたミステリー作品。時系列がバラバラに書かれているので注意して読まないと「誰のことだっけ??」となってしまうが、この書き方が事件を複雑なものにしていて大変面白い。最終章まで事件の核の部分が分からず、ピースの多いパズルを訳もわからず埋めていくような感じの物語だ。部分部分が完成していき、最終章でスッキリするという感じである。静加という狂気の女性が犯す数々の犯罪。表立って手を染めるのではなく、裏で操る様子が恐ろしい。他の方もレビューで書いていたが、東野圭吾の『白夜行』『幻夜』と似ているな、と思い読み進めた。雪穂のように不気味さの漂う主人公である。四章がキーとなる。怖くて哀しい物語。
ドラマも観てみたくなった
謎の少女「静加」を追う連続短編作品。一話一話がどれも面白く、途中でやめられずに最後まで一気読みしてしまった。一見、恵まれた家庭に育ったように見える静加が、なぜそこまで残忍かつ狡猾に犯罪を繰り返していくのかが解らず、途中までは静加を追う警察側に立った見方になりがちだったが、徐々にその生い立ちと心情が見えてきて、最後には静加の数奇な人生に思いを馳せてしまう。ラストについてはもしかすると賛否あるかもしれないが、自分としてはあれで良かったように思う。作者は違うが、どこか東野圭吾の「白夜行」を思い出させる。ドラマも作られたようなので、そちらも是非観てみたいと思う。