苦役列車の評価
苦役列車についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が2件掲載中です。
各項目の評価分布
苦役列車の感想
芥川賞だけどなにも残らない作品
他人の日記を読んでいるようで、芥川賞という分類は間違ってはいないと思うのですが、純粋に文学を追求して、人間の深層心理に近づこうとしていた芥川作品と比べるといささか幼稚で、作品自体が優れているかと問われると、いろいろな不純物を抱えている作品だなあと感想を持ちました。西村先生は私小説が主流の作家さんで、こんな人生を歩んで芥川賞作家にまで昇りつめたのか、とその数奇な生き方に、波乱万丈さにはあっぱれします。昔は先生のように日雇いで食いつないでいた方が多かったのか、私が世間知らずなだけなのか、きっと両方なのですが、こうやって必死に生きている人もいる、という新たな発見をしたことで、安穏と暮らす自分の平凡さが少し恥ずかしくなりました。日雇いながら真面目に働き、こつこつと経験を積むことで主人公もあたたかなご飯を食べるまでになるのですが、自分の人生を卑屈に考え、どうせ俺なんか、という気持ちからやる気が失...この感想を読む