孤独な散歩者の夢想の評価
孤独な散歩者の夢想の感想
狂人に成った天才
この話は断片的である。ある意味妄想だらけの著作であり、仮にルソーが書いていなければ誰も手に取らなかったであろう。しかし彼の苦悩と懊悩の先には精神崩壊が待っていた。幻覚、幻聴、被害妄想が激しくなったルソーは妻のことすら信じられなくなっていた。否、彼は元々誰も信じていなかったのかもしれない。それがルソーの性格から起因しているのかそれとも片親でしかもその親が暴力事件を起こし捕まったという事実を直視してしまって精神の中に歪みが出来上がったのかもしれない。だからルソーは「演劇について」をダランベールに送って彼がその著作を勝手に発表してしまったことに憤りを感じて百科全書派から離脱した。というよりその場所は彼の居場所ではなかったし、ルソーは死ぬまで居場所を探し続けていたのだろう。