人は誰でも過ちを犯す。大事なことは、そのこととどう向き合うかだ。逃げたり目をそらしたりしていては、また同じ間違いをする。
加賀恭一郎
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麒麟の翼~劇場版・新参者~は、作家、東野圭吾の書下ろし推理小説を映画化したものである。デビュー当時から描き続ける刑事・加賀恭一郎シリーズである。このシリーズは、2010年にテレビドラマ化された。原作は2011年に発行され、2012年に映画化された。 主人公の加賀恭一郎は、俳優の阿部寛、ヒロインは新垣結衣が演じている。主題歌はJUJUによる「sign」である。 麒麟の翼は、日本橋に設置されている、大きな翼を持った麒麟の像からつけられており、この物語で重要な意味を表している。 この作品は、日本橋の麒麟像の下で、男性の刺殺体が発見されることから、物語は始まっていく。被害者は刺されたまま誰にも助けを求めていないことが分かり、その行動に疑問を抱いた主人公が、真実を求めていく中で、親子の絆、様々な人間ドラマが描かれている。 全国377スクリーンで公開され、初日の2日間で興行収入2億円を突破し、映画観客動員ランキングで初登場第2位となった。
この映画、いろんな事件が絡み合っています。青柳武彦が胸を刺され、日本橋の麒麟の像の下で倒れているところから始まります。この麒麟の像にも意味があるし、青柳が持っていた折り鶴も繋がってきます。そして青柳の荷物を盗んだ八島も…この事件の鍵は「キリンノツバサ」。日本橋の麒麟の像もそうですね。そしてこの事件の絡み合いの1番の始まりは中学生時代の事故。青柳の息子、そしてその友人が起こしたプールでの事故が根本にあります。事故が起こった時にきちんと対処しておけば、こういうことにはならなかったのかも…劇団ひとりが演じる教師・糸川は本当にダメな大人の象徴だなと思いました。目の前で見ていたいじめを見ないふり、事故が起きた時には自損事故にしてしまうというのは見ていてもツラくなりました。いろんな話が絡み合っているので何度観ても楽しめる作品です。
主演の阿部寛さんの彫りが深いという意味ではなく、とても濃厚で味わいのあるストーリーの奥深さに驚嘆します。突如起きた強盗殺害事件。一見単純に見える事件だが容疑者が意識不明の重体のため進まない捜査。真相を追うほどに深まる謎。見えてくる絡み合った糸達。強引に事件を終わらせようとする捜査本部に、必死に食い下がる加賀。事件の盛り上げ方や最終的にするすると解けていく謎の気持ちよさは、さすがの原作東野圭吾といったところだと思います。もちろん、単純なミステリーというだけでなく、そのストーリーの奥深さ家族愛、教育の在り方、恋人達の想い、バラバラに見えるそれらのテーマをうまく一つにまとめている名作ではないでしょうか。中居貴一さんの演技はやっぱいいな。
ミステリーとしても面白いのですが、いじめの問題(傷害だと思いますが)がこんなにもの色んな人間を苦しめている事実。やはり、裁かれるべき時にきちんと裁かれなければ悲劇しか生まれないんだと納得してしまいました。償う機会をきちんともらえなかった人間は苦しむのだと思いました。その苦悩にも涙が出ました。被害者の少年の事を麒麟君と呼んで、介護している母親の姿も印象的でした。自分の子供がこんなことをされたらどうするだろうと考えさせられました。人間はずっと嘘を吐き続けられるるほど強くないし、許して欲しいと思う生き物だと思うし、やっぱり罪は償うべき時に償うのが良いんだと思う。
加賀恭一郎
事件の鍵を握っている家族の人物へ言った一言