麒麟の翼 〜劇場版・新参者〜の感想一覧
映画「麒麟の翼 〜劇場版・新参者〜」についての感想が5件掲載中です。実際に映画を観たレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
1つの事件が実は裏でいろいろと絡み合っている
この映画、いろんな事件が絡み合っています。青柳武彦が胸を刺され、日本橋の麒麟の像の下で倒れているところから始まります。この麒麟の像にも意味があるし、青柳が持っていた折り鶴も繋がってきます。そして青柳の荷物を盗んだ八島も…この事件の鍵は「キリンノツバサ」。日本橋の麒麟の像もそうですね。そしてこの事件の絡み合いの1番の始まりは中学生時代の事故。青柳の息子、そしてその友人が起こしたプールでの事故が根本にあります。事故が起こった時にきちんと対処しておけば、こういうことにはならなかったのかも…劇団ひとりが演じる教師・糸川は本当にダメな大人の象徴だなと思いました。目の前で見ていたいじめを見ないふり、事故が起きた時には自損事故にしてしまうというのは見ていてもツラくなりました。いろんな話が絡み合っているので何度観ても楽しめる作品です。
深い
主演の阿部寛さんの彫りが深いという意味ではなく、とても濃厚で味わいのあるストーリーの奥深さに驚嘆します。突如起きた強盗殺害事件。一見単純に見える事件だが容疑者が意識不明の重体のため進まない捜査。真相を追うほどに深まる謎。見えてくる絡み合った糸達。強引に事件を終わらせようとする捜査本部に、必死に食い下がる加賀。事件の盛り上げ方や最終的にするすると解けていく謎の気持ちよさは、さすがの原作東野圭吾といったところだと思います。もちろん、単純なミステリーというだけでなく、そのストーリーの奥深さ家族愛、教育の在り方、恋人達の想い、バラバラに見えるそれらのテーマをうまく一つにまとめている名作ではないでしょうか。中居貴一さんの演技はやっぱいいな。
悲劇だった。
ミステリーとしても面白いのですが、いじめの問題(傷害だと思いますが)がこんなにもの色んな人間を苦しめている事実。やはり、裁かれるべき時にきちんと裁かれなければ悲劇しか生まれないんだと納得してしまいました。償う機会をきちんともらえなかった人間は苦しむのだと思いました。その苦悩にも涙が出ました。被害者の少年の事を麒麟君と呼んで、介護している母親の姿も印象的でした。自分の子供がこんなことをされたらどうするだろうと考えさせられました。人間はずっと嘘を吐き続けられるるほど強くないし、許して欲しいと思う生き物だと思うし、やっぱり罪は償うべき時に償うのが良いんだと思う。
阿部寛が、いい味出してます
ドラマ新参者を見ていたので、楽しみと期待がいっぱいで観ました。そして、とても楽しめました。ひとつひとつに深い意味が隠されていて、それが少しづつ解けていく。そして、解けていくけど全てが繋がっていく。東野圭吾って本当に頭のいい人なんだろうなとつくづく思う。いつもいい意味で裏切られる。読者の想像を、想像どおりに進んでくれずそうくるか!ってなるのです。麒麟の翼が意味する「ここから羽ばたく」を、色んな思いで抱える人たち。嘘をついたり、人を陥れたり、騙したり、隠したり。そういうものを抱えながら生きるのって、あんなにも苦しいんですね。青柳悠人の担任、伊藤に向かって言った加賀の言葉がものすごく良かったです。そして担任、伊藤役の劇団ひとりが演じるどうしようもない大人感がすごくはまってて面白かったです。
日本橋を通る度に思い出してしまう中井貴一さんの名演技
原作も連続ドラマ版も観ていなくて、いきなり映画版を観たのですが、それでもかなり楽しめました。さすが東野圭吾さんが最高傑作とおっしゃっているだけあって、内容が濃い。とても重厚です。特に中井貴一さんのタイトルにもなっている麒麟の翼前での演技は身が震える程です。車などで日本橋を通って麒麟の翼像の前を通ると、いつもあのシーンを思い出してしまうほど。また、JUJUさんの歌声が物語の切なさに非常にマッチしていてgood!涙を誘います。映画版ではまってしまって、新参者の連続ドラマ版もレンタルして観たのですが、ドラマ版を見たらニヤッとする、例えば向井理さんの出方だったり、タイ焼き屋さんだったりあるので、時間があったらまずは連続ドラマ版を観てから映画版だと最高に楽しめそうです。