往年の太宰治をおもう
「パンドラの匣」はこんな作品この作品は、太宰治の小説、「パンドラの匣」を原作とした映画です。1945年の戦後まもない日本を舞台に、結核を患い、隔離病棟で集団生活を送る青年、「ひばり」の目線で物語が語られていきます。音楽や画面の撮り方が、お洒落でモダンな雰囲気があり、太宰治の作品の雰囲気にピッタリだと思いました。隔離病棟の様子と言えば、結核という、死に繋がる病を皆患いながら、不思議と陽気で楽しげな雰囲気があります。闘病の苦しい様子などは一切ありません。かわいらしい看護婦達や、同室の人々の様子が、ユーモアを交えて語られていきます。「新しい男になる」という意味は何か主人公のひばりは、事あるごとに、「新しい男になる」という命題を己に課します。新しい男、とは何を意味するのでしょうか。新しい男とは、やはり戦前の精神を捨てた人、ということなのだと思います。ひばりは結核を患い、出兵できず、日々を暗澹として...この感想を読む
3.03.0
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