西の魔女が死んだの感想一覧
映画「西の魔女が死んだ」についての感想が6件掲載中です。実際に映画を観たレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
生きていることを体で感じよう
”おばあちゃん”の存在タイトルを聞いた時に私は悲しい話というよりも魔女が死ぬということは嬉しい安心感のようなものがこの作品には含まれているのかと勝手に想像した。しかしそれは間違えだった。魔女が悪者という先入観を捨ててからでないとこの作品の深いところまで見る事は出来ないだろう。この作品で見た魔女の姿は非常に優しい声をしていて素敵な表情を何度も見せた。それは学校に行けなくなった孫をなんとか助けてあげたいという心境から湧き出てきた気持ちな表れだろう。魔女の血が混ざった孫にとって学校という場所は窮屈で仕方がなかった。おそらく彼女は精神的に病んでしまっていたのだろう。彼女のいくつかの発言を通して精神病である私はすぐにその事に気が付いた。この子は、少し考え方や感じ方が私に似ているかもしれない。彼女のような発言を私も同じくらいの時に発していたような覚えがあるのだ。私の実家には魔女はいなかったが仲の良...この感想を読む
おばあちゃんを思い出す
この映画を観て、祖母を思い出しました。母方の祖母が元気だった頃の思い出が色々と浮かんできて、うるっとしてしまいました。一時期、主人公の少女のように近所の祖母宅に入り浸っていた時があって、母には怒られていたのですが祖母は温かく包んでくれて、その頃結構キツイ事があり精神的にしんどくて祖母の存在が物凄く有難かったです。主人もおばあちゃん子だったので、一緒に映画を観て「良い映画だなぁ…」とぼそりと言っていたので、どこか心の琴線に引っかかったのかなぁと想像してほっこりしました。原作の小説も読みました。丁寧に描かれている小説で、映画も素敵な出来ですが、小説もまた良かったです。
疲れた時に見たい映画
中学校に入学したばかりの主人公は不登校になってしまう。そんな時離れて暮らす祖母の家で魔女になるための修行を始める。その修行とは「なんでも自分で決める」というもの。一日の生活の流れを自分で決める。決められた時間に起きる・朝食をきちんと摂るなど現代人が忘れかけている基本的な事を体にしみこませるという意味。思春期というのは一番厄介なもので、友達がこういうからそうする。友達の意見に流されたり、他人を平気で悪者したりする。それが負担となってしまう子も多いのではないだろうか。私は基本映画に影響されて生きているので不規則だった生活を魔女の言うことに従い、朝食をきちんと摂るなど基本的な事を頭に入れ生活してみた。すると自然と前向きな気持ちになることができた。疲れたとき、いつもの生活が嫌になったときにみてもらいたい。
児童文学としての、安心のクオリティ
梨木香歩さんの、さまざまな児童文学賞を受賞した同名小説が原作の映画です。現代式の人間付き合いに疲れてしまった中学生の女の子が、異国人の祖母が住む森の中で療養生活を送るのが物語の流れですが、この祖母が魅力的な人物で、自らを魔女と称し、主人公の女の子にも魔女の血が流れているとして、彼女に魔女修行を施します。この魔女修行に、祖母の思いやり、優しさがたくさん込められていて、祖母と女の子とのやりとりは、見ていてとても癒されます。また児童文学らしい教訓も含まれていて、それが強制的なものでなく、自然と心に染み込む形で表現されていたのには、子どものころに読みたかった!と思わせてくれます。とはいえ、大人が見ても、忘れてしまった大切なことを思い出させてくれる優しい映画です。原作と一緒に楽しみたい作品でした。
疲れた心を包み込んでくれる日常風景と優しい音楽
梨木香歩原作の小説を映画化した作品です。原作を知っていると、映画にがっかりさせられることも多いのですが、この映画はその心配はまったくないと言ってもいいくらい、素敵な作品に仕上がっています。物語構成や登場人物のイメージはもちろん、行間に漂っていたこの作者のもつ独特の空気感まで映像化されているように感じます。そして、それをさらに盛り上げるのが、野鳥の声が混じる心癒される美しいBGMです。主人公の少女の気持ちの変化に寄り添い、時に優しく、時に激しく、時に悲しく、時に弾むように、自在に私たちを物語の中へ引き込んでいきます。さらに、多感で傷つきやすく不登校になりながらも、心のどこかに核のような強さを秘めた少女と魔女としての力を秘めていながら、未来を知るのではなく毎日、毎日を楽しむことを大切に生きる英国人の祖母の存在感が際立っています。魔女というと、おどろおどろしい存在だったり、なんでも願いをかな...この感想を読む
魔女とは人生の先輩
原作は梨木香歩の同名小説。原作を読んでからでも十分楽しめる作品である。最近の原作ありきの映画化において、かなり忠実に原作を再現してくれた作品だと思う。いくつか原作とは違う点もあるが、それは文章と映像との見せ方の違いによるものであって、作品の本質自体はさほど変えられていないように思う。なにより、西の魔女役の女優さんが見事だ。この役をやるために現れたのではないかと思うほどはまっている。畑仕事や台所に立つ姿がたどたどしいというのも、その後の展開を考えれば納得の違和感。この女優さんを起用した事実だけで、この映画は成功だった。『魔女』に対するイメージは数あるが、人生の先輩としての意味合いの魔女の姿を、まいだけではなく、見ている我々も感じ取ることができるだろう。