さくらんの感想一覧
映画「さくらん」についての感想が11件掲載中です。実際に映画を観たレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
煌びやか
蜷川実花ワールド炸裂の映像の世界でした。吉原遊郭という人間のの欲望情念が渦巻く郭の中の小さな世界を、様々な色を使って幻想的な世界に仕上げていました。ただちょっと残念だったのは、背景はとても綺麗なのですが、人間が背景に負けてしまっている感があったことです。俳優さんたちに問題があったというわけではなく、何となく映像と人間がアンバランスだったような気がするだけです。背景や小道具に凝っている割には、人間の映し方が地味というか・・・。ただ清次役の安藤政信はその地味さが逆によかったです。あと女将役の夏木マリさんがとてもよかったです、怖いけど人のよさそうな感じで。
映像美を堪能する作品。
安野モヨコ原作の漫画を映像化した作品。色鮮やかな写真で有名な蜷川実花さんが監督しただけあって、とにかく映像が美しい!至るどころに散りばめられた色彩と、効果的に置かれた花や金魚が美しくも儚い遊郭の街を印象付けています。主演の土屋アンナさんは演技というよりは、自分の魅せ方を心得ている感じ。花魁にしては彼女の顔立ちは外国人すぎるのですが、それを圧倒的な存在感で上手にカバーしていました。演技の方は、菅野美穂さん、木村芳乃さんがしっかりと濃く演じていたので、そちらで充分楽しめました。ストーリーはあってないようなものですが、吉原炎上のようなどろどろした感じはあまりなく、さっぱりと見れたのが逆によかったと思います。
まるで写真を並べたかのよう
とにかく映像の美しさが目を引く作品です。吉原という粋と雅、そして欲望の世界を、色彩や小道具で華やかに、鮮やかに、どこか恐ろしげに映し出しています。その辺り、さすが写真家として一線で活躍する監督さんが手掛けただけのことはあると見入ってしまいます。子どものきよ葉が、『女』になる恐ろしさに逃げ出したくなる気持ちがなんだかわかるような、美しさと怖さを併せ持った映像です。また、随所に効果的に使われている金魚も素敵でした。美しい姿で人の目を楽しませるために存在し、生きる世界は囲われた鉢の中だけという遊女の象徴としては、うまい演出だと思います。一方で、ストーリー展開はいまいちでした。原作を知らないので、比較はできませんが、映画だけ見ていると、1つ1つのエピソードが細切れで、ラストまでつながる流れが感じられません。そのせいか、命がけの足抜けをしてまで連れ添いたいと2人がなぜ思ったのか、納得がいかない感...この感想を読む
映像は綺麗でした
蜷川実花さんが監督ということで綺麗な映像になるんだろうなと思っていたら、さすが!色彩はとても綺麗でした。出てくるキャストも豪華で、原作を読んだことがあったので、どういうふうになるのかを楽しみにしていましたが。土屋アンナさんもすごくカッコいい花魁だったのですが、個人的に好きだったのはやっぱり菅野美穂さんです。映像はとても綺麗でカラフル、全体的に赤といった感じです。見る人によってその感じ方は違うのかもしれませんが、私はあまりにカラフルすぎて途中で目がちかちかして気分が悪くなったのが残念でした。テレビや映画のフラッシュで気分を悪くしたことがある人は注意が必要かもしれません。
菅野美穂綺麗だった
8歳の頃に遊郭に売り飛ばされた少女がやがて花魁まで登りつめる。主人公・きよ葉を演じるのは土屋アンナ。気が強くて自分勝手我儘な性格で売り飛ばされてからも何度も脱走をこころみては捕まっていたが面倒をみてくれていた花魁・粧ひが嫁ぐ事になり遊郭を去る日にきよ葉に自らが大事にしていた長ぐしを譲り渡した。その長ぐしを手にしたきよ葉はこの遊郭という場所でトップになるという決意を抱くのであった。その決意は叶い花魁になったのだが、きよ葉は粧ひの様にはなれなかった。客としてきた青年に恋をしてしまうのだが…菅野美穂の花魁姿とても綺麗でみとれてしまいました。意地悪な演技もまた良かったです
命と引き換えの恋心
遊郭街 吉原の美しさを堪能できる。「遊女は金魚鉢の中の金魚だ」という話が作中に出てくるが、様々なシーンで尾びれを優雅に揺らして泳ぐ金魚が目に入る。その演出の美しさにはため息がでる。あと、なんと言っても美貌も知性も兼ね備えた完璧な花魁・粧ひ(菅野美穂さん演じる)の妖艶な姿は素晴らしい。女性が見てもウットリしてしまう。脚本としては、少々後味が悪い。遊郭で生きる女性の華やかだけれど切ない生き方を思うと胸が締め付けられる。自由に恋愛でできない身でありながら、恋に思いを馳せ、命と引き換えにでも成就させたいと願うのは「究極の純愛」になりえるような気がした。
何も残らない
おもしろいと思えませんでした豪華キャストで配役もとても良いと思うのですが内容が薄いというか…世界観だけを落ち着けられた様な気分になってしまいました。カラフルでワクワクする部分はありましたがそれなら監督の本業の写真だけでさくらんの世界観を表現すれば良かったんじゃないのかな?と思うぐらいでした。原作を読んだ事はないのですがすごく売れている作品だしこんな薄い内容だとは思えません。かなり削りまくってできた内容がコレだったんじゃないのかな?と勝手に思っています。音楽も映像とあっていてとても良かったのにな期待していただけあって本当に残念に思いました。
脚本だけが弱い
土屋アンナ×蜷川実花×安野モヨコ×椎名林檎の個性派揃いに圧倒される。鮮やかな赤や鋭い目、世界観を包み込む音楽はそれぞれ映画の世界観を作り上げている。けれど、その中で脚本だけが及んでいないようにも感じる。原作を読んだことはないが、忠実に作っただけなのか、他の個性派に飲み込まれてしまったのか。他の要素は血の色のような赤というイメージだが、脚本だけがピンクのお花畑のようで、ふわふわしてしまっている。特にラストはもっと引き締めて欲しかった。こんな吉原はないだろうけれど、そうであってほしいと思ってしまうような雰囲気。特に吉原の入口に、手水鉢に入れられた金魚がいるところなど、囚われた女たちを上手にイメージしている。
ゆらゆらゆれる鮮やかな金魚のよう
金魚鉢で泳いでいるような鮮やかでヒラヒラしている美しい女性たちを描いています。金魚鉢の中のように自由はなく、自由だと思っていてもそれは世界の中だけなんです。女性をどれだけ美しく映し出すのかが勝負どころだとは思うのですが・・・セットも着物もお金かかってるのに、美しさがものたりないとしか言えないのが残念。濡れ場も美しくない!色気もない!儚さもない!刹那さもない!ないないばかりできりがない現状はそんな~で~♪と思わず歌ってしうまうぐらいに。ラストも若い二人が愛を見つけて逃走するなんてありふれたお話になっているのが残念で仕方ありませんでした><
映像がキレイ
写真家で有名な「蜷川実花」さんが監督ということで、とにかく映像が鮮やかで、キレイ!赤を基調に、実際の遊郭ではありえなかったであろう蜷川さんらしい配色でした。また、漫画を原作にすると配役に違和感を感じることが多いかと思いますが、主人公の土屋アンナをはじめ、全員はまり役といっていいほどイメージ通りだと思いました。ただ、ストーリーはちょっと残念。映画1本にするには詰め込み過ぎに感じました。もう少しキャラクターそれぞれのバックグラウンドや心理描写に触れて、丁寧に描いて欲しかったなぁ。個人的にはきよ葉の足抜けから帰ってきたあたりで終わりにして、残りは2作目に・・・なんて思います。ラストにも納得いかず、あのような感じにするのであれば、清次をもっと関わらせ、お互いの心理描写を描いて欲しかったです。だからこそ展開が早く感じ、詰め込み過ぎに感じたのかもしれません。余談ですが、原作者「安野モヨコ」さんの旦那...この感想を読む
役者は揃ってたのに…結末に↓
蜷川実花の濃厚な色彩、映像と椎名林檎の音楽、土屋アンナの迫力ある表情がマッチして、おお、いいぞー!と予告編を見て思ったのでありますが…なぜ結末がそんなふうになったかナーと、大変残念な映画になってしまいました。高尾役の木村佳乃はまさに体当たりで非常にグッジョブ! 惣次郎役の成宮寛貴も、ベストキャストだよ!と思ったのですが…なんかそのよさを活かしきれずに終わってしまった感が濃厚です。敗因は清次役の安藤政信をクローズアップしすぎたことだと個人的に思っています。原作でもそれなり大事な役どころですが、映画の尺のなかでそこまで入れる必要はなかったのでは…原作通りにやれてたら、それだけでよかったのに…と、残念でなりません。吉原のセット、美術、映像の見せ方も、そりゃあ豪勢で、とってもよかったですよ。役者は揃ってたのになー…と、とほほな一本です。