博士の愛した数式の感想一覧
映画「博士の愛した数式」についての感想が6件掲載中です。実際に映画を観たレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
優しい映画
心が温かくなる映画です。80分しか記憶が続かない博士とその世話をする家政婦と彼女の息子の3人の触れ合いが素敵で良いです。毎朝、「はじめまして」から始まる生活。当事者は大変だろうけど、ある意味新鮮だろうなぁと観ながら思ってました。毎朝新しい朝なんだなぁと思いながら観ました。息子の頭がペッタンコだからルートとあだ名を付けられるシーンも好きです。ある時、江夏という博士が大ファンの野球選手がもう引退したとルートが言ってしまい、博士はとてもショックを受けます。忘れてしまうけれど傷つけてはいけないと、親子で反省会をしているシーンが一番印象的でした。
期待はずれすぎて悲しくなりました。
もっと面白いと思っていました。タイトルにインスピレーションを感じて予備知識なしの状態で観ての感想です。原作未読の私が言うのもなんですが、原作の魅力であろう部分が全然活かされてないのではないでしょうか。登場人物それぞれのキャラクターや、数字にまつわるエピソードなど、映画的に面白い部分をクローズアップしたという意図は感じます。しかしなにか大切なものを盛り込むのを忘れてるというか、表層だけさらった深みのなさのようなものを全体的に感じてどうしても見ていて入り込めなかった…監督は原作に思い入れがなかったのだろうかとさえ感じてしまいます。個人的にはキャストもミスっている感があります。作品の繊細さに対して俳優があくの強い人ばかりで、俳優を見ているという感じがしてしまいました。
男は女によって作られる
簡単に言うと子供が育つ環境には影響を与えられる存在は付加価値が高ければ高いほど良いと言うメッセージが入っている。この映画の全編にある、家政婦は自分の息子に対して、クライアントの悪口や愚痴ねたみや嫉妬などの感情がこもった言葉が全く無い。数学者は一人の男であり、息子も子供では在るが一人の男である。子供のときに、凄い人や憧れる人の存在はいかに後の人生を変えるかを、監督はメッセージとして入れているのではないだろうか。男が育つときに、どうしても成長した男の存在が必要になる。この子供時代に何を考えて、何に興味を持つかと言う強烈な体験が、男を男として育て上げるのだろう。大胆に繊細で優美にして力強い男を作るのは女だ。
丁寧な空気感のある映画
小説から入った作品。博士の家に流れている空気は、数学を愛している、子供を大切にしているなど、とてもシンプルなこと。この世界をずっと見ていると、もっともっと丁寧に生きたいと感じてしまう。人は色々なことを考えているから複雑になって生きにくくなっているのかもしれない。家政婦(深津絵里)とルート(齋藤隆成)の関係もいい。博士のことを尊重し、間違ったらきちんと謝ることができる。悪い言い方をするとやや間延び、いい言い方をすると世界観を味わえる。「80分しか記憶が持たない」以外の特徴がないので、スパイスのような演出があればとも思う。けれど優しい気分になれることは間違いなしの映画。
人を愛するという事は・・
自分と義理姉しか知らない世界で生きる博士の元に新しい家政婦と息子がやってくる。博士の不思議な世界に二人は引き込まれていく・・・。一番記憶に残るシーンは、博士の元にいつも通り学校帰りルート(息子)がよりました☆少しだけ怪我をしてしまい、博士は一生懸命手当てをしようとするのですがそこに杏子(家政婦)が帰ってくる。その怪我を見て慌てて博士に冷たく当たってしまう・・・博士の切なそうな顔や母親の子どもを思う気持ちがよく表現できていたなーと感じさせられました。人は自分を忘れ去られても、きっと人を愛することをやめはしない。人は愛されるより愛することを選ぶものだから。
切なさと数式の物語
基本的に、原作に忠実な映画だと思う。でも、“なんか違う感”が否めない(汗)。多分、深っちゃんの演技のせいだと思う。(決してアンチではない)このお話の主人公の家政婦さんは、ただの可愛い感じの人じゃないんだよなー。可愛らしさじゃなくて、もっと強い感じを出しても良かったんじゃないかなぁ、と思ってしまう。寺尾聰さんの演技はとても良かったし、少ししか出ないけれど吉岡秀隆さんも良かった。80分しか記憶が持たないということは、とてもとても切ないことだ。そしてそれがいつまでなのか分からないということも。全体的な雰囲気や空気感は、あたたかで静かでとても良かったと思う。