ニライカナイからの手紙の評価
ニライカナイからの手紙の感想
蒼井優なしでは考えられない作品
蒼井優の初主演映画(単独)である本作品。生き甲斐、故郷、人との繋がり…といったテーマが、蒼井優の柔軟な演技を通して時に穏やかに時に激しく綴られます。何より作品の、そして蒼井優演じる風希のこれまでの人生の、軸になっているのが毎年誕生日に届く生き別れた母からの手紙。誕生日にだけ届く母の言葉に満足しきらず、自分でも母を探すもうまくいきません。繊細な物語に思えるのはやはり蒼井優の存在感も大きいように思います。あとやはり竹富島という故郷の存在も。行ったことのない遠く離れた場所を感じることができるのは良いものですね。舞台の半分は東京ではありますが、作品として竹富島を全面に押し出さないのもそれはそれでアリだなと思わされました。どこまでも切ない展開と描かれる風希の成長を、静かに見守れる作品です。
明るくて広い沖縄、暗くて狭い都会。
風希を演じる蒼井優さんは、自然豊かな風景がよく似合う。舞台は沖縄、蒼井優さんのナチュラルな美しさが、沖縄の風景に溶け込んでいる。物語は沖縄から都会へ。夢を抱いて都会に出た風希は、徐々にのびやかさが失われていく。その窮屈さが、見ている側にも逃げ出したいような気持ちにさせる。惨めで寂しくて悲しい。映画の最後に出てくる、オジイと風希の食事シーン。なんとも素敵です。静かで、おだやかで、光が優しく包み込んでいる。さて、蒼井優さんという女優は、とても熱心でこだわりがあり、方言をきちんと勉強される方です。この作品においても、沖縄弁を使いこなし、わざとらしさがありません。