Love Letterの感想一覧
映画「Love Letter」についての感想が4件掲載中です。実際に映画を観たレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
臭くない、味わい深い映画
しみったれた葬式にしないしみったれた葬式にしないで、淡々とした葬式シーンにしているのがこの作品で、私がぐっと惹かれたポイントである。まず、冒頭の幻想的な雪の中での葬式シーンは渡辺博子があまりにぼーとしており、周りの美しい雪の景色に溶け込みすぎてしまい、婚約者を亡くしたというより、口は悪いが頭がただ弱い子のように見えるだけであった。さらに、義母の様子も淡々としていて、果たしてこの葬式は誰のものだったのだろうかと疑問のまま冒頭のシーンは過ぎていく。しかし、この演出によって後の、博子と義母が葬式から2年後に二人でアルバムを見ながら泣くシーンが、ぐっと効果的に観る者を引き込んでくれることになる。中学生の子に対して嫉妬してしまう博子の様子をどやしつつ、そんなに息子を思い続けてくれていることに堪えられなくなってしまう義母。そして、それにつられ、今まで我慢していたものが一気に噴出する博子。思わず観て...この感想を読む
図書カードに秘められた思い
中学時代くらいまでって、名前だけ一緒。とか苗字だけ一緒。ってだけでもなんとなく嫌で、同じクラスとかになったらどうしよーってその子に罪は無いのに思ったりするものです。この映画は、性別が違うのに漢字も全て一緒の同じ名前『藤井樹』がもたらす、とっても気持ちが温かくなるラブストーリーです☆好きだからイジワルしちゃうっていう青春時代の甘酸っぱい恋愛から、大人になってから知る、“藤井樹”のその後。 そして、中学時代には知る事のなかった樹くんの思いが、図書カードを通じて最後樹ちゃんに伝わります☆ そして、樹くんの婚約者と樹ちゃんの不思議な文通もこの物語にとっても重要なポイントです♪とても素敵なお話でしたー!
イメージと少し違いました
亡くなった恋人に届くはずのない手紙を出した主人公ですが、その手紙の返事が届いたことによって恋人の過去を探していく、というストーリーです。中学生のころの甘酸っぱい思い出がよみがえってくるような映画です。岩井俊二作の小説を先に読み、そのあとに映画を見たのですが、少しイメージとちがっていたので、この評価とさせていただきます。小説では最後の「お元気ですか?」シーンは号泣だったのですが、映画では結末を知っていたからなのか、中山美穂の演技力のせいなのか、「泣けるシーンだから泣こう!」とがんばって泣いてしまった感じでした。ま、結局は映画でも泣いたんですが・・・。
恋を思い出す作品
岩井俊二が好きになって過去作品を見返している時に出会った作品。もちろん存在は知っていたし、有名な「お元気ですか」のシーンは知っていた。けれどそれだけだった。きちんと見て一番に感じたのは、こんなにも恋愛はピュアだったのかということ。そして胸が締め付けられる。「お元気ですか」と叫んでいる時には苦しくて締め付けられ、鉛筆のイラストを見つけた時には温かい気持ちで締め付けられる。全体を通して温かく見守りたい気持ちになるのは、物語の構成が丁寧で、きれいな映像に包まれているから。もう一度見直したら、今活躍している人がこんなに出演している!という楽しみ方もできると思う。