知的で分析好きなフランス映画の魅力にあふれた、アラン・レネ監督の「アメリカの伯父さん」
アラン・レネ監督の「アメリカの伯父さん」は、いったいどんなことになるのだろうと大いに興味を抱かせる風変わりな始まり方である。まず、3人の主人公の生い立ちが紹介されるのだ。ジャン(ロジェ・ピエール)は、田舎の金持ちの息子として生まれ、今はテレビ局で要職についているが、本当は政治家か文筆家になりたいと思っている。ジャニーヌ(ニコール・ガルシア)は、パリの労働者の娘で、旅回りの劇団に加わった後、家を飛び出し、小劇場の舞台に立っている。ルネ(ジェラール・ドパルデュー)は、農家の出身だが、父親と意見が合わず、家を出て、今では紡績会社の中堅幹部としての地位を得ている。ごく当たり前の3人の人物たちであるが、その紹介の仕方は当たり前ではない。3人の経歴を交互に紹介し、しかも第4の人物として、生物学者のアンリ・ラボリ教授を登場させるのである。このラボリ教授は、行動心理学という立場から生物と人間に関する研究をやって...この感想を読む
4.04.0
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