愛の嵐の評価
愛の嵐についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に映画を観たレビュアーによる評価が2件掲載中です。
各項目の評価分布
愛の嵐の感想
頽廃的で耽美な狂気の世界を描き、凄愴の情念が燃え立つ幽遠な愛のドラマ 「愛の嵐」
このリリアーナ・カヴァーニ監督の「愛の嵐」は、なんと衝撃の、頽廃の、異常な、そしてデンジャラスな甘美な愛のドラマなのだろうか。1957年ウィーンの冬。灰色に沈む冷雨の中を、黒いコートと傘のマックス(ダーク・ボカード)が行く。傲慢な紳士のように見えるが、だが彼は、古びた中級ホテルの夜勤ポーターにすぎない。暗鬱の翳り。額に走る傷跡と、儀式的な身のこなし、冷厳な挙措と、時にほとばしる残忍な手荒さと。そうした様子を、かつて彼が同じ階級に属し、肉体の関わりもあったと思われる、ホテルの長期滞在客------老醜に厚化粧の没落した伯爵夫人(イザ・ミランダ)や、自室で恍惚とバレエを踊る明らかな男色家(アメデオ・アモディオ)------との交渉に、見せていく。そして、マックスこそは、元ナチ親衛隊員で強制収容所で権力を揮う将校だったのだ。あの時、一人の美しいユダヤ少女を"餌食"にしたことを忘れない。少年のような体つきの、まだ蕾の...この感想を読む