3月のライオンの感想一覧
漫画「3月のライオン」についての感想が4件掲載中です。実際に漫画を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
進化するヒースクリフ
嵐が丘の向こう側いわずと知れた大人気作です。現在TVアニメ放送・実写映画化が平行し、菓子メーカーコラボ等など現在進行形で話題を提供してくれているのは周知の通りですが、ハチクロブームを思い返せば期待も当然でしょうね。それだけのパワーがある作品です。ただ、識者やファンによる様々な考察も広く展開されている作品なのに、なぜか『嵐が丘』との類似性が語られていない…(?)ようですので、拙いながら触れてみようかと思います。19世紀イギリスの女性作家E・ブロンテの長編小説『嵐が丘』は、端的に言えば少年期に虐待され、恋人に捨てられた天涯孤独な男の復讐譚です。ヨークシャーの荒涼たる土地を舞台に、嵐が丘と呼ばれる館の主人・アーンショーが、孤児のヒースクリフを保護したことが悲劇の発端でした。3月のライオンの主人公・桐山零は、不慮の事故で家族全員を亡くします。そして父親の友人で、プロ棋士の幸田八段もアーンショーのよう...この感想を読む
現実と成長
家族もいない、友達もいない、あなたには何もないと、言われ自分の殻を閉ざしたままの主人公 零。ひょんなことから近所の家族と出会い夕飯をご馳走になったり何処かへお出かけしたりしていくうちに少しずつ心を開き、楽しいことや嬉しいを表情に出せるようになる。1人でお金を稼ぎ1人で生きているような気持ちになる零だが風邪をひけば色々な人が心配してくれる。悩みがあれば話を聞いてくれる。そんな環境に零はだんだんと表情豊かな人間になります。印象深かったのはお世話になっている家のひなたちゃんのイジメ。友達を庇ったことから標的がかわり、ひなたがイジメを受けるようになります。ひなたの為にちょっと間違えた方向ながらもなんとか助けようとする零に涙が出ました。おじいちゃん、お姉さん、そして学年主任の行動でひなたのイジメは解決します。担任の先生の不甲斐なさ、クラスのみんなの無関心さ、そんなものを現実に娘が受けたらと思うと締め...この感想を読む
将棋
「3月のライオン」は「ハチミツとクローバー」で有名な羽海野チカ先生が描く、将棋漫画です。羽海野チカ先生らしい、笑える部分もあるけど、登場事物の影の部分の描写もあったりして奥深い作品になってます。主人公は桐山零。中学生で将棋のプロになり、高校生になった現在もプロとして活動しています。この桐山零とある家族達がこの漫画の主な登場人物となっています。零は実の家族をなくしていて、自らが生きていくために将棋という道を選んだという結構なくらい過去をもつ人物。零となかよくなった別の家族のみんなもそれぞれに、抱えているものがあります。おもしろいので是非読んで下さい
羽海野先生による将棋マンガ
あのハチクロの羽海野先生が将棋マンガにチャレンジしてくれました。しかしそこは羽海野先生、ただの将棋マンガで終わるはずもなく……。主人公、桐山零は若干17歳にして将棋のプロを務めるほどの腕前を持つ。しかし幼くして両親を亡くしている零は、両親の死後彼を引き取ってくれた幸田家の子供たちと折り合いが合わず、プロ進級と同時に一人暮らしを始める。将棋以外のことはからっきしな零は学校でもプロの試合のためあまり出席しないこともあって友人が出来ずに孤独な毎日を過ごしていた。そんなある日、ふとしたことから零は川本家の人々と出会う……。やはり羽海野先生、それぞれのキャラの心理描写が非常に秀逸です。将棋作品の皮を被った人間ドラマ作品と言ってもいいかもしれませんが、私のような将棋ファンにとっても満足のいく作品となっていますよ。