血脈の火の評価
血脈の火についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が1件掲載中です。
各項目の評価分布
血脈の火の感想
長い長い人生の営みシリーズの第三弾
タイトルから感じる新たな展開血脈の火は、流転の海シリーズの3作目にあたる。このレビューを書いている時点では第8作目まで刊行されているが、主人公松坂熊吾が、シリーズの中でもおそらく人生で最も多忙な時期であったのではと感じる作品である。タイトルや、本の表紙の挿絵の背景の赤からして激しさを連想するが、血脈という言葉は単純に血管のことを意味するのみではなく、血のつながりや血縁、仏教においては師弟関係を意味する用語である。熊吾の故郷、南宇和での生活から、再度大阪での生活を選んだ松坂一家の当たらなスタートの巻であるが、親子、血のつながりというものが熊吾をとりまく人々の営みの中で大きくクローズアップされている。熊吾と息子伸仁のみならず、麻衣子と周栄文、丸尾千代麿の愛人の死による新たな展開、熊吾の母ヒサの行方不明など、血のつながりや縁がもたらすものの大きさを感じさせる作品である。チャンスは自分でつかむ地...この感想を読む