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- 「幸せ」とはなんなのかを問いかけられるような作品
4.084.08
- 文章力
- 4.25
- ストーリー
- 4.17
- キャラクター
- 4.08
- 設定
- 4.17
- 演出
- 4.42
- 感想数
- 6
- 読んだ人
- 21
冒頭は幼いチャーリィの言葉で綴られているので正直読みづらく苦戦
したが、読み進めていくと、障害を持つ純真無垢なチャーリィが脳手術
により急速に知能や精神を発達させていきそのピークが過ぎると逆再生
するかのように元の幼いチャーリーに退行していく様とその複雑な心情が
丹念に描かれていて驚いた。
しかも三人称のような他人からの視点でなく本人が語る日記風の表現
になっているので、彼の心と知能が急成長しそして衰退していく中でどの
ような喜びや葛藤や変化があったのかをアリアリと感じ取ることができた。
だからこそ一生懸命に生きるチャーリィに痛いほどの切なさや愛おしさ
を感じてしまった。周りの人々が良かれと思って彼に押し付けた「幸せ」と
彼が求めていた「幸せ」は何が正しく何が間違っていたのか。彼自身は
最終的に幸せになれたのか。幸せの定義とはなんなのか。チャーリィの
生きる姿に心を打たれながらも考えさせられる作品だった。
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他のレビュアーの感想・評価
幸せってなんやろ
天才ねずみ、アルジャーノン、知的障害の青年にアルジャーノンが受けた手術と同じ手術をする。青年は天才になるが、最終的に、また知能は退化していき、元の青年に戻ってしまう。青年の性格や、人との関わり、天才になることで生まれた確執、しかし、人間的にも成長していく姿に感動しました。人の幸せって何だろうと考えさせられました。青年は少しの間でも人並み以上の知能を得られて幸せだったんだろうか。青年はかしこくなりたくて手術を受けたけど、まさか、元に戻ってしまう危険があるなんてわからなかっただろうし、最終的に手術を受けたことは青年とって良かったのか悪かったのかわからなくなっちゃいました。
3.53.5
ドラマ性よりSF色強し
人のススメで、というか、あまりにも有名なのでどんなものだろう、と思って読んでみた。もっとヒューマンドラマ的なものを想像していたので、裏切られた。これはSF小説なんだなぁ。それにプラスして心理描写とか人間性のようなものが描かれているような? そもそもヒューゴー賞(歴史のある、SF小説を対象とした文学賞)を受賞している作品なのだから当たり前かなぁ。知的障害を抱える人間の心理をここまで克明に描いているというのは本当にすごいなぁ、と思った。でも、読んでいてあまり楽しいものではないんだなぁ。全体的に暗い印象。ストーリーそのものもそうだし、描かれている人間の心理も。知人はこれがお気に入りで繰り返し読んでいるという。自分にはよく分からなかった。
3.03.0
最後の一行に全てが……
「知恵遅れのチャーリィ」の「経過報告:けえかほーこく」という形で、物語は進行する。32歳ながら、6歳程度の知能のチャーリィは、ある日「しじつ」を受けることになる。頭が良くなるという「しじつ」の結果、変わりゆく世界の中で彼は……。日本語訳で読んだが、この訳がまた秀逸だと思う。翻訳作品は、いかにも英語的な文の並びや表現が苦手なのだが、この作品では、チャーリィの「けえかほーこく」が、手術後、徐々に変化していく様を、日本語でもその経過を本当にうまく追っている。頭が良くなって、気付かなくてもよかったこと、知らなくてもよかったこと、そして成長が追い付かない部分、様々な要因がチャーリィを苦しめる。周囲の誰より「天才」になったチャーリィを、今度は孤独が襲う。ラストの一文、こらえていた涙が決壊した。チャーリィは本当に優しい人でした。
5.05.0
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