草之丞の話の評価
草之丞の話についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が1件掲載中です。
各項目の評価分布
草之丞の話の感想
むかし話を読んでいる気分。
江國香織さんのデビュー作です。侍の幽霊、草之丞と女優の母。そして、2人から生まれたことを13歳の時に知らされた息子。つかの間の家族生活を息子の目線で語られています。挿絵に妙な味があるためでしょうか、設定は現代なのに、不思議にむかし話を読んでいる気分になりました。草之丞が息子を「もう一人前の男」と認め、母親を任せれる時がやってきた時、「ではさらば」と言って、別れを告げる場面は父親として、そして武士としての潔さが感じられ、悲しいけれど、前向きな素敵なラストでした。何よりも、江國さんの擬態語の使い方が大好きです。「うふふ」と笑ったり、「胸がしわっ」としたり、など。雰囲気にとても調和して、状況がさらに伝わってきます。