キリシタン禁教と、それに伴う棄教や殉難の問題を、内面的に深く追求した、遠藤周作の第二回谷崎潤一郎賞受賞作「沈黙」
キリシタン禁教と、それに伴う棄教や殉難の問題を、内面的に深く追求した、遠藤周作の第二回谷崎潤一郎賞受賞作「沈黙」作家・遠藤周作は、キリシタン禁教と、それに伴う棄教や殉難の問題を、内面的に深く追求した「沈黙」を世に問いました。カトリック信者でフランス留学の体験を持つ遠藤周作にとって、神や罪の問題、あるいはキリスト教が日本の精神風土に根を下ろすことができるのかという問題は、遠藤文学の大きなテーマになっていますが、この「沈黙」は、徳川時代のキリシタン殉教史に材をとりながら、その問題を厳しく追及した問題作になっていると思います。キリスト教徒に対する迫害の結果、悲惨な処刑が相次ぐなかで、二十年間、布教を続けたフェレイラ教父も捕らえられ、拷問の末に棄教したという知らせがローマ教会にもたらされます。司祭たちのショックは大きく、教会の名誉のためにも、迫害下の日本へ潜行し、布教を行なう計画が立てられます...この感想を読む
5.05.0
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